すらすら日記。

すらすら☆

金融

銀行の投融資の利益はどの段階に計上されるのか?

銀行業の損益計算書は一般の事業会社のものとは異なり、売上高も営業利益もありません。 さらにわかりにくいことに損益計算書は2種類ありまして、銀行業独特の段階利益指標である「業務純益」というのが出てくるものも! こちらが計算方法です。 番号 項目 …

銀行の「逆ザヤ」をめぐる解釈について。

昨年の春辺りから、「銀行の総資金利ザヤが『逆ザヤ』に!」という記事が散見されるようになりました。 例えば、これらです。 三菱UFJ銀、国内「逆ざや」 14年3月期は低金利で伸び悩み 三菱UFJ銀、国内「逆ざや」 14年3月期は低金利で伸び悩み :日…

「一本だけ外債」投資信託のいろいろな事情について。

にっけい新聞にこんな記事が出ていたそうです。 「組み入れ銘柄は国際機関が発行する外国債券1本だけ――。地域金融機関の間で、こんな私募投資信託がじわりと売れている。」 (有料記事なので、リンクは貼りません。) なぜ、こんな意味の無さそうなことをす…

単純な憎しみを煽っても問題は解決しません。

本日のお題はこちら。銀行は裸の王様である作者: アナトアドマティ,マルティンヘルビッヒ出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2014/05/30メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 金融の専門家ではない一般向けに、銀行界の言い分に騙されず、規制…

マイクロファイナンスの魔法の杖の神話とその実態は・・

本日のお題はこちら。世界は貧困を食いものにしている作者: ヒュー・シンクレア,大田直子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/03/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見るマイクロファイナンスの神話は次のようなものです。1日中お針子…

バランスのとれた「金融政策入門」書籍の1冊目として。

本日のお題はこちら。金融政策入門 (岩波新書)作者: 湯本雅士出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/10/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る金融政策は、ちょっと前までは金融界隈・経済学界隈にいる 一部の好事家たちの話題に過ぎませんでしたが、…

金融政策論争の決着は?

本日のお題はこちら。 金融政策をめぐり、岩田規久男氏(現・日本銀行副総裁)と 「翁-岩田論争」を繰り広げた翁邦雄氏による1冊であります。 日本銀行 (ちくま新書)作者: 翁邦雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/07/10メディア: 新書この商品を含むブ…

読書ノート「金融論-市場と経済政策の有効性」(その1)

最新の研究成果を取り入れて解説する金融論の決定版テキスト、とあります。 金融論 -- 市場と経済政策の有効性作者: 福田慎一出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2013/04/12メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る まずは関心の高い「非伝…

読書ノート「金融政策のフロンティア」(その2)

金融政策のフロンティア: 国際的潮流と非伝統的政策作者: 翁邦雄出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2013/01/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 本日は第2章「金融調整と短期金利の誘導」を読み終えました。伝統的なマク…

読書ノート「金融政策のフロンティア」(その1)

本日のお題はこちら。金融政策のフロンティア: 国際的潮流と非伝統的政策作者: 翁邦雄出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2013/01/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 著者の翁邦雄氏は元日本銀行金融研究所所長で、次期日…

すらすらわかるゼロ金利政策と量的緩和政策(完全版)

肝心なところが2つほど漏れていましたので、補完しました。 なお、他の方の@は載せておりません。以下、完全版ですw銀行はお客さんから預金を集め、それを貸出金・有価証券投資(以下、「投融資」とします)へ回して利鞘を稼ぎます。しかし、預金を全額投融…

社会に何を付け足していますか。

「銀行は人様の金を右から左に流すだけで儲けている、けしからん!」とか叫んで自ら銀行業に参入したら、大失敗した偉いおじいちゃんもいたそうです。 いやはや、よく知らないことについて断定的な発言をするものではありません。銀行は、広く大衆から預金を…

座して死を待つより。

商業銀行のビジネスモデルは地味なものです。貸出を行う先に何度も足を運んで債務者と面談し、担保を評価し、貸出金の回収が安全にできるか慎重に審査してようやく資金を融資します。そして後は毎月毎月わずかな利息を上乗せして資金を回収して行きます。 超…

まとめてみた。

なにやら、はてなブックマークがすごいことになっておりますが。。 無料で学べる会計・税務・金融(税務編) [NAVER まとめ]無料で学べる会計・税務・金融(金融編) [NAVER まとめ]無料で学べる会計・税務・金融(IFRS編) [NAVER まとめ]無料で学べる会計…

金利の付加価値とは。

さて、なぜ金融取引は消費税が「非課税」なのか、 誰得考察を続けたいと思います。金利の受取・支払それ自体は 何ら新しい価値を生みません。 金利の支払い自体は単なる「移転」に過ぎず、 金融の前後では、社会全体でみた場合は 支払利息と受取利息は同額で…

貸出金金利はどう決まる?

今日の市場経済ではあらゆる商品に価格が付きます。 買いたい人と売りたい人の価格が釣り合うところで・・ と教科書では教えられる訳ですが、 実際には需給バランスのみで決まるはずも無いわけです。さて、金利の世界でも自然利子率(貯蓄投資を均衡させる実…

金利に消費税を転嫁できるのか?

金利も、あらゆる商品と同じように、 「貸したい人」と「借りたい人」の需要と供給により その水準が決定されるはずです。 実際には中央銀行の金融政策により、金利水準は上下するのですが。さて、消費税増税問題が世間を賑わしております。 税率引上げに反…

回収も空気を読んで。

法律上・契約上強力な権利を持っている債権者といえども、 債務者の事情や「世間の空気」を無視して債権回収を強行すれば 社会の指弾を受けることになるのが実務です。国税庁HP 平成16年12月24日最高裁判決を踏まえた金銭債権の貸倒損失の損金算入に係る事前…

足りないのは現金?

ちょっと前の金融の教科書では、 現金及び中央銀行預け金(日銀当座)は利息を生まないので、 金融緩和によりキャッシュを手にした銀行は 利息収入を求めて貸出金や有価証券投資へ振り向け、 それが再び銀行に預けられて、さらに貸出金+有価証券投資へ・・ …

貧困と金融について。

貧困撲滅に金融が果たせる役割というのは、 こちらセイヴィング キャピタリズムにも登場しますが、 今回はこちらを読んであまりに面白かったので、 いつものブクログではなく、久しぶりにこちらに投稿いたします。 最底辺のポートフォリオ ――1日2ドルで暮ら…

少しづつ減るお話。

たくさんブクマが付いて少々怖い思いもしましたので、 分散させるべく少々他愛無い話でも。銀行の仕事は「人様のお金を右から左へ流して・・」 など、楽をしているかのように語られることも。国債を始めとする債券投資にしても、 株式投資にしても、最初に投…

金融緩和を複式簿記で表してみる。

先月2月14日、日銀は一段の金融緩和を発表いたしました。 その中で、資産買入の規模を55兆円から65兆円へ増額する、とされています。初歩的な疑問ですが、 なぜ民間から日本銀行が資産を買入すると 金融緩和になるのでしょうか?これを万国共通の複式簿記を…

金利リスクって何?

ちょっと市場リスク開示の話はお休みしまして、別の話題を。最近は金融の専門誌だけではなく、 一般の週刊誌などでも国債の金利リスクについて 記事が書かれることが多くなりました。金利リスクって、そもそも何?という話から。国債は基本的に固定利付債券…

リスク量は比較可能?

さて、有価証券報告書・金融商品関係「市場リスク定量情報」の注記の読み方の第二弾です。財務報告が「株式を購入・保持・売却すべきか」という意思決定に有用性を持つためには、他社との比較、また自社の過去の業績との比較可能性がなければならない、とい…

どのくらいリスクをとっている?

金融業に限りませんが、ビジネスというのはリスクを取ってリターンを求めております。 預金取扱銀行は、負債(資金調達)の大部分が元本保証である預金なので、これをリスクに晒すことができません。 リスクが顕在化した時にはそれを吸収できるのは総負債の…

ゆっくり睡眠したい。

話題の休眠預金ですが、業界的には「睡眠預金」と称します。この騒動を見るに、世の中には一定数、 金融業界に対し理由の無い偏見を持ち、 これを叩くことで自らの正義感を満たそうという 方々が(まだまだ)いるんだなあ、と感じております。金融リテラシー…

じゃぶじゃぶのお話。

一般に想像されているのとは異なり、銀行の大金庫には札束が山積みになっているわけではありません。現金は、金の延べ棒と同じく、現物を保有しているだけではまったく利息を生みません。 預金で集められた資金は、最低限の預金支払い準備用の現金保有を除い…

時事的だけど、古くならない。

時事的な問題をテーマにする経済や金融に関する書物は、しばらくしてから読み返したりするとあまりに的外れになり、「これは痛い...」となるケースが多いものです。「2012年には日経平均2万円!」 「1ドル200円の時代が来る!」 「もうすぐ日本経済が世界を…

銀行の財務報告を読む。(その8)

七十七銀行の公的資金導入のリリースが出ていますね。(PDF注意)金融機能強化法に基づく国の資本参加の決定および経営強化計画の策定についてこの度の公的資金は一般に用いられた優先株ではなく、劣後ローンを利用するようです。 金額は200億円。 七十七銀…

お金をもらうと儲かるのか?

昨日今日とこんな報道を目にしました。金融庁 七十七銀行に公的資金投入へ(NHK)東電株が急落、最低1兆円の公的資金注入で調整との報道(ロイター)前者については震災復興のために望ましいという意見が聞こえる一方、後者については「国民の税金をもらって…

すらすら日記。は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。