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銀行での金融商品購入の前に知っておきたい「あっせん委員会」の仕組みなど。

高齢者等の知識不足につけ込んだPCデポによる組織的とも言える「情弱商売」への批判が高まっております。
関連して、同じく「情弱商売」であるとして、銀行の投資信託販売も批判されており、こちらについて「苦情を言っても銀行側は知らぬ存ぜぬで、損失をこうむった高齢者は泣き寝入りになっている」との声も聞こえております。

こちらにつきましては、まったく苦情を聞いてくれないというのは必ずしも正しくなく、全国銀行協会が設置している「あっせん委員会」というものがあり、購入した銀行窓口で「知らぬ存ぜぬ」とやられても、そちらの委員会に申立することができます。

www.zenginkyo.or.jp

あっせん委員会とは、裁判外で当事者それぞれ(投資信託などの購入者と銀行)の証拠となる書類の提出と言い分聞き取りを受けて、裁判外の和解をあっせんするものであります。
本格的な訴訟となりますと、時間も費用も要することになりますが、あっせん委員会への申立は無料で行うことができ、おおむね6ヶ月程度であっせん案を出してくれます。*1

平成23年度の新規申立件数は1,086件でしたが、年々申立件数は減少傾向であり、平成27年度には124件となっております。
これは、金融庁による厳しい監督や証券業協会などの自主規制などが徐々に効果を発揮し、銀行による強引な勧誘によるトラブルが減少しているとみることができるでしょう。

平成27年度の新規あっせん申立件数124件の内訳をみますと、投資信託販売など証券業務に関するものが39件(32%)、保険商品窓口が23件(19%)、為替デリバティブなどのデリバティブ商品に関するものが19件(15%)と、その多くが預金とは異なり元本が保証されないリスク商品に関するものであることがわかりますね。
申立の理由としては、強引な勧誘、リスクについての説明不足などが多くを占めているようです。

あっせん委員会は、全銀協という銀行側の業界団体が組織している団体なのだから、銀行側に不利なあっせんをするはずがない、という意見も見かけます。
しかし、公表されているあっせん事例を紐解いてみますと、必ずしも銀行側の言い分ばかりを採用しているのではなく、購入者側の見解を取り入れて、銀行側の説明不足などを認定して元本割れした部分の一部補填、手数料の返還などが行われているケースも存在しております。*2

このように、救済の仕組みはあり、あっせんという裁判外の手続きであって、費用や時間は訴訟に移行した場合に比べれば多くはかかりません。しかし、必ずしも購入者側の言い分が採用されるわけではなく、あっせんにかかる心労はたいへんなものになります。

なので、「売り込みしたい」という前提を持っている銀行員の説明を鵜呑みにするのではなく、自分で投資信託の商品内容を勉強し、そのコスト、リスク、リターンが見合うものであると理解し、購入すべきか否かを判断することをお勧めします。

私個人の意見としましては、銀行で窓口販売されている投資信託などの多くは販売手数料や信託報酬などが割高であり、その期待リターンもリスクに見合っていないものが多いのではないかと感じております。

銀行での投資商品購入に関しましては、こちらもご一読をおすすめします。


*1:申立には代理人として弁護士を立てることもできます。この場合は、弁護士費用は実費がかかることになります。

*2:これは、金融商品取引法が一般に禁止している損失補填行為の例外であり、法令で認められているケースに該当します。

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