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繰り延べ税金資産の注記を読もう。

「えっ税金を払いたくないから、ウソをついて利益をごまかしていたんじゃないの?」
これは昨今の粉飾決算の報道を見て、妻がもらした感想です。

一般に、中小企業が行う粉飾決算は、まさに税金を払いたくないがゆえに経費の過大計上や売上隠しなどをやるのも多く、これが税務調査で発覚するとお上から加算金を付けられてたっぷり税金を取られるわけです。
悪質に所得隠しになりますと、重加算税、さらにタイーホされて牢屋行き・・w

さて、昨今の粉飾決算は逆に損失隠しですので、払わなくてもよい税金を納めているかも・・と思ったら数年前から多額の(税務上の)繰越欠損金を計上しておりますね。
有価証券報告書の税効果会計の注記をみますと、繰延税金資産内訳として23年3月期の連結ベースでは「繰越欠損金25,076百万円」とありますので、これを実効税率40%で割り戻すと約62,690百万円の繰越欠損金があると思われます。
一方、単体ベースでは23年3月期で初めて「繰越欠損金 9,803百万円」がでてきます。オリンパス単体の繰越欠損金は約24,507百万円。
推測するに、これは連結会社に付け替えていた損失が親会社に戻ってきた影響かもしれません。

なんだ、22年3月期までは払わなくてもいい税金払ってた?と思ったら、単体PLの法人税等はマイナス!です。

むむっと見たら、連結納税制度を選択しているんですね。
つまり、オリンパスと100%子会社では、繰越欠損金があるために国庫へ税金を納付しておりません。
マイナスの法人税は、100%子会社との課税所得通算により、子会社から受領した法人税額を表わしています。
子会社は、国庫に納付するのではなく、親会社とやりとしているのです(連結法人税の個別帰属額、というものです)。

税効果会計の注記から、こんな想像と事実確認もできるわけです。

財務会計って、本当に面白いですよ。

すらすら税効果会計

すらすら税効果会計


参考に、すらたろう著「すらすら税効果会計」をお勧めします(捏造w

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