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銀行の財務報告を読む。(その4)

勘定科目の羅列だらけでうんざりしてきましたので、少々趣向を変えまして。

原価を1円単位まで製品に配賦して精緻な原価計算を行っている製造業に対し、金融業はその考え方が無く、どんぶり勘定だとも言われます。
昨日のエントリーで「業務粗利益」「業務純益」の計算方法を紹介しましたが、こちらでは原価はわかりませんね。。

銀行業において、本業である資金運用の粗利益・営業利益を算出する指標として「資金運用利回り」「資金調達原価」「総資金利鞘」があります。*1

滋賀銀行有価証券報告書20頁をみてみましょう。

(PDF注意)23年3月期滋賀銀行有価証券報告書

23年3月期 資金運用利回 1.55%
      資金調達原価 1.26%
      総資金利鞘  0.29% とあります。

これは、年間の貸出金・有価証券が何%で運用されたか。預金などをいくらで調達したかを表わしています。
ただし、「原価」ですので、資金調達原価には人件費(臨時費用分を除く)、物件費・租税公課を含んでおります。

総資金利鞘が、経費+預金等利息を控除した後の、資金運用部分での営業利益になりますね。
(金額に変換するためには、利回りを資金運用勘定平残に掛け算しなければなりません。でも、平残が有価証券報告書には掲載されておりませんorz)

これはまだ役務取引や有価証券売買、与信費用などは含んでおりません。
銀行の原価計算はいろいろ試行錯誤されてきましたが、まだ完成されたものは無く、各行バラバラのようですね(上述の利回りはあくまで財務会計上のものです)
最近(といっても2年前の出版ですが)の金融機関の管理会計・原価計算の動向はこちらで概観できます。

金融機関のための管理会計マネジメント―IFRSとバーゼル2の動向を踏まえて

金融機関のための管理会計マネジメント―IFRSとバーゼル2の動向を踏まえて

えっ?私のところですか??
感覚ですよ、かん・・うわふじこ

*1:これは国内部門のみで、海外支店は含んでおりません。

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