すらすら日記。

すらすら☆

どこから補填する?

2006年出版と少々古い本ですが、まだまだ今日的に面白い本を見つけましたのでご紹介。

粉飾の論理

粉飾の論理

カネボウの長年に渡る損失隠しと、メディア・リンクスの架空循環取引を中心に、中央青山監査法人の崩壊まで絡めて「粉飾決算を巡る人間模様」を描いております。
カネボウとメディア・リンクスの話がメインですが、冒頭と結末でライブドア事件についても触れられています。

粉飾決算では、損益計算書で期間損益確保(黒字決算)を表示することを狙うことを中心に、架空売上や架空資産の計上、費用計上の先送りなど様々な手口でごまかしが行われます。
これによって、歪んではいるものの、BSPLは一応の辻褄をつけられることに。

一方、現金預金の残高自体を架空計上するのは非常に困難なので、キャッシュ・フローには不自然な流れが発生します。
カネボウの場合は、年商にも匹敵する銀行借入で現金の不足を補っておりました。メディア・リンクスは同様に如何わしい資本調達スキームや借入金でした。

ライブドアは、自社株の処分差益を複数の投資事業組合等を経由することで売上に振り替えるという技、いわば無から有を作りだす粉飾決算を行いました。これで被害を受けたのは株式を購入した一般投資家であり、市場そのものであると著者は結論付けています。*1

粉飾決算に罪が重いものも軽いものも無いのかもしれませんが、この点でライブドア事件は特に厳しく批判されるべきであると。

ここからは、私見です。
昨今騒がれているオリンパス社の被害者は誰でしょう?
歴代の経営陣は損失隠しで投資家たちを欺き、本来価値の無い株式を購入させたわけですから、同罪でしょうか。
隠している間に、損失は本業の利益で埋められてしまいました。

何が処罰されるべきなのでしょうか。。


ちょっと古い本ですが、今日読んでもじゅうぶん面白いです。
ぜひ、考えるヒントとして、ご一読をお勧めします。

*1:メディア・リンクスの調達先はプロが多く、すそ野は狭い

すらすら日記。は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。