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しらさぎ会(12月15日@東京)記録。その7

あと2回です。お付き合いの程を。

7.「課税売上割合」の非合理性
前のエントリーで解説しましたように、「課税売上割合」による前段階税額控除は一種の簡便法でありますが、この割合の計算方法を定めた施行令48条にはいろいろ非合理的な規定が多く、さらにおかしなことになっております。

まず、最大の問題は、同じ二号非課税の支払手段の譲渡が計算に入らないのに対し、有価証券の譲渡が非課税売上に算入されている点です。有価証券の譲渡が「資本の振替」だというなら、これはそもそも課税対象外にすべき性質も含まれていると考えられます。

有価証券のうち、国債等についてはその譲渡対価の額の5%が非課税売上に算入されます。これは、非課税売上が大きな額となって、課税売上割合が大きく低下し、仕入税額控除額が減少するのを防ぐための政策的配慮とも説明されます。
なぜ、5%なのかは、廃止された租税特別措置法の有価証券みなし譲渡益課税が同じく5%だったから、とも説明している当局関係者もおりますが、そもそも消費税の課税物件は消費であり、所得ではないので、譲渡益(みなし)を考慮するというのはまったく理論的ではありません。
(なおかつ、非課税は課税標準を構成しません。支離滅裂。。)

また、国債等以外の、合同会社の持分や匿名組合の出資持分を譲渡した場合は、非課税に算入されるのは5%ではなく、100%になります。(貸出金・預金などの金融商品も同様。)
これは、国債等ほどは売買が頻繁では無いから、とも説明されますが、昭和63年に消費税法が制定された当時では当たっている面があったかもしれませんが、今日、持分証券や貸出金などの金融商品は活発に売買されており、売買を繰り返す度に課税売上割合がどんどん下がっていって前段階税額控除の額が減少していくというなんとも非合理(理不尽)な結果を引き起こしております。

国債か・出資持分か、という私法上の契約区分で非課税への算入割合を変えるのはもはや無意味なのであると考えられます。

金融取引には消費税「課税対象外」とも考えられる性質が含まれるとの論考はこちら。

タックスシェルター

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有価証券取引5%の説明はこちら。全体としては良い解説書なのですが、金融取引に関しましては論理的ではない説明になっております。

消費税法の考え方・読み方

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