どのくらいリスクをとっている?
金融業に限りませんが、ビジネスというのはリスクを取ってリターンを求めております。
預金取扱銀行は、負債(資金調達)の大部分が元本保証である預金なので、これをリスクに晒すことができません。
リスクが顕在化した時にはそれを吸収できるのは総負債の3〜5%しかない純資産(資本)であります。
金融システムを維持するために、国際的な規制として、リスクに晒されている資産*1に対する資本*2の割合を8%以上に維持しなければなりません。バーゼル2、以前はBIS規制と呼ばれていたものですね。
金融業の経営の巧拙は、自己の資本に照らして取り得るリスク量を計算し、これを効率的に取ることにより差がつきます。
期末において、バーゼル2上は同一の自己資本比率であっても、取っているリスク量は同一ではあり得ません。
保有しているエクスポージャーの内容(債券の残存期間、株式のボラティリティ、債務者の信用リスクの状態)によりリスク量は分かれるわけです。
従来より、バーゼル2上の自己資本比率は開示されておりましたが、「どのくらいリスクテイクしているか」は明らかではありませんでした。
しかし、会計基準のコンパージェンスが進む中、23年3月期の有価証券報告書から、市場リスクのみですが、期末における最大損失額の開示が「金融商品関係」の注記で義務付けられ、これを読み込むことにより各行のリスクテイクの状況が(ぼんやりとながら)わかるようになりました。
これから数回に渡りまして、この市場リスク量の定量的開示の注記の読み方を解説していこうと思います。