すらすら日記。

すらすら☆

回収も空気を読んで。

法律上・契約上強力な権利を持っている債権者といえども、
債務者の事情や「世間の空気」を無視して債権回収を強行すれば
社会の指弾を受けることになるのが実務です。

国税庁HP 平成16年12月24日最高裁判決を踏まえた金銭債権の貸倒損失の損金算入に係る事前照会について

平成16年12月24日最高裁判所判決では、金銭債権の貸倒損失を当該事業年度の損金の額に算入するためには、「当該金銭債権の全額が回収不能であることを要すると解される。そして、その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが、そのことは、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情のみならず、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念に従って総合的に判断されるべきものである。」と判示されています。

これは、日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)が、
住専に対して持っていた債権を放棄した際、
税務上の損金参入時期をめぐって最高裁まで争われ、
最終的に国が敗訴した事件を指しております。

最高裁の判決は、空気読めよ、ということなのかもしれません。
特に、引用先のこの部分です。

「債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念に従って・・」

日本興業銀行は空気を読んで債権放棄したのに、
国税がそれを否認したことを最高裁はひっくり返しました。

昨今、地方銀行の貸出金の2割弱を占めるまでになった
地方公共団体向けについて、自治体破綻になっても回収を強行できず、
債権放棄やとんでもない長期返済への組替などを
「空気」により迫られるのではないか・・というのが
ひそかな筆者の恐れるものであります。

いや、それよりも

「国債投資は愛国者の行動」
「立派な金融機関なら国債借り換えに応じるべき」

こんな明日が、来るのかもしれません。

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