読書ノート「金融論-市場と経済政策の有効性」(その1)
最新の研究成果を取り入れて解説する金融論の決定版テキスト、とあります。
- 作者: 福田慎一
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2013/04/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まずは関心の高い「非伝統的金融政策」から。
「(ポートフォリオ・リバランス効果は)中央銀行が市場に潤沢な資金を供給することにより、金融機関に安全ではあるが利息を生まない(日銀)当座預金が積み上がると、金融機関がよりリスクはあるがリターンを期待できる有利な運用先を求めてポートフォリオの再構成を行うことを期待するもの」
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「ここでは、各資産の間に不完全な代替性しかなく、かつ金融機関がその不完全代替の資産に関して最適なポートフォリオを組むことが前提になっている」
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「しかし、標準的な公開市場操作では、金融機関の(日銀)当座預金を増加させるため金融機関の保有する国債を購入する買いオペを行うのが一般的であり中央銀行が国債を購入する限りにおいて量的緩和策下の金融機関の最適資産選択は安全資産である国債を買い直すだけでリスク資産の購入には向かわない」
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「実際、2000年代前半の量的緩和時には貸出金の拡大は起こらなかったし、貸出が実際に増加に転じたのは量的緩和解除後」
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「リーマンショック時も流動性の確保には寄与したものの貸出の拡大には結びついていない」これに続いて日銀がもしもっと極端なバランスシート拡大を行っていたら効果があった可能性は否定できない、と続きます
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
続きまして、ポートフォリオ・リバランス効果にならぶ量的緩和政策のもう一つの効果、「シグナリング効果」について。
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
シグナリング効果とは、中央銀行が量的緩和というシグナルを発して、人々に中央銀行の超低金利政策継続の意思を伝える効果のこと。
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「実際、量的緩和政策が強化された2002年以後、超金融緩和の政策を明確化することで時間軸効果がより強く働くようになったことが示されている」時間軸効果とは、市場が将来の短期金利の動向を予測し、現在の長期金利を低下させること。
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「しかし、中央銀行の(超金融緩和政策継続という)コミットメントの信任を高める上では市場との対話がより重要であり、大量の資金供給だけが最適の方法ではない」ふむふむ
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
日銀の信用緩和政策について。長期金利=リスクフリーレート+流動性プレミアムリスク資産の収益率=リスクフリーレート+リスクプレミアム
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
信用緩和政策は、リスク資産を中央銀行が購入することで、オペ対象資産(ETFやREITですね)やそれと代替性が高い資産のリスクプレミアムを引き下げる政策のこと
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「中央銀行が求められるのはシステミックリスク軽減などを目的としたマクロプルーデンス政策であり、個別金融機関の救済や金融システムの構造改革ではない」プルーデンス政策とは、信用秩序維持のことで、日銀の役割としては決済の維持や最後の貸し手機能の発揮など
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「ゼロ金利政策や量的緩和政策など、究極の信用緩和策は、短期金融市場で本来働くべきマーケットメカニズムを大きく後退させるという副作用を伴っていた」
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
短期金融市場とは、金融機関同士が日々の資金繰りをつけるために短期間(最短で翌日まで)の資金を融通し合う市場のことでコールローンなど。マーケットメカニズムが機能していれば信用力に劣る金融機関はコール市場で資金を調達すうる為には高めの金利を要求されるはずなのに
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
97年の金融危機時、破綻した三洋証券はコール市場でデフォルト(債務不履行)を起こした。北海道拓殖銀行もコール市場の決済ができなくなって破綻
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
また、リーマンショック時には金融機関どうしが互いの信用力について疑心暗鬼となり、短期金融市場は麻痺してしまった。そこで中央銀行が巨額の資金供給を行って流動性を確保
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
「究極の信用緩和策は金融機関のモラルハザードを引き起こす。本来破綻すべき金融機関が存続してしまったり、必要のない金融機関まで日銀の支援を受けて利益(レント)を得てしまう」すみませんすみません
— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年5月4日
少々専門的なテキストですが、
経済学や金融についての基礎的な知識があれば、じゅうぶん読みこなせます。
続きます。