ゼミナール現代会計入門・演習課題（その1）

これから14回ほどに渡り、
こちらの章末演習課題と解答を掲示いたします。

ゼミナール現代会計入門 〈第９版〉

学部レベルの財務会計のレポートに
ちょうどいいレベルの問題ですが
コピペして「不可」をくらっても
責任はとれませんのでご容赦のほどをｗ

私の作りました解答ですので、
会計クラスタからのツッコミをお待ちしております。

問題①
会計が「事業の言語」と言われる理由について答えなさい。また、なぜ「事業の言語」たりうるのか説明しなさい。

　会計は、経済主体にかかわる大量で複雑な事象を一定のルールに従ってある数値に写し換え、整理・統合して報告するという表現能力を持っているから。財務報告は、複式簿記誘導法により作成され、その作成規則は一般に公正妥当と認められる会計基準としてルール化されている。
また、会計情報は一定のルールに従って抽象化され要約されており、情報の受け手はそのルールを基に、送り手の経済的実態を推定することができるため、事業の言語足りうるといえる。

問題②
財務会計情報の主な利用者とその利用目的について述べなさい。

　財務会計は外部報告会計とも呼ばれ、企業外部の様々な利害関係者の経済的意思決定に際し利用される。
外部の利害関係者の第一は資金提供者である。株主であれば企業の株式を保有し続けるべきか、売却すべきか。将来の株主であれば株式を購入すべきか。社債権者・銀行など貸付権者であれば企業に資金に貸し付けるべき否か、あるいはどのような条件で貸し付けるべきか。また、資金提供者の参考に資する情報を提供することを業とする証券アナリストや格付け会社にも財務会計情報は同様の目的で利用される。
外部の利害関係者の第二は企業の取引先、競合先などである。取引先や競合他社は財務報告を企業の信用力や成長性、その他強み弱みを見極めるために利用する。また同業他社や隣接業種などの企業は買収・合併などの候補選定のためにも財務報告を利用する。
外部の利害関係者の第三は税務当局・監督官庁を始めとする政府機関である。税務当局は、企業の財務報告を課税所得など税金計算が税法の規定に従って正しく算出されているか見極めるために利用する。また、監督官庁は、企業が従わなければならない業法などの規制に従って行動しているか、その財務会計情報から読み取るために利用する。
　その他、財務会計情報はその企業に勤める従業員が労働条件の基礎となる経営状態について知るため、将来の従業員である学生は企業の成長性・将来性を見極めるためにも利用される。

問題③
企業会計の主要な機能を３つ挙げ、それぞれの機能を果たすために求められる会計の特性を述べなさい。さらにそれぞれの特性を互いに比較し、会計がそれらの特性すべてを同時に備えることが可能か否かについても論じなさい。

　企業会計の第一の機能は、責任解明メカニズムである。今日の代表的な企業組織である株式会社において、株主及び債権者から資金の運用を託された経営者は、一定期間（通常、1年毎。四半期毎もあり）に資金運用の成果と財産の状況を報告し、資金提供者の 承認を受けることで受託責任が解除される。
企業会計の第二の機能は、利益分配メカニズムである。企業会計のプロセスで計算された利益は株主・債権者・経営者の間で分配される。
企業会計の第三の機能は、資源配分メカニズムである。経済的資源は希少であり、投資家は持てる資金をどの会社の株式を購入すべきか会計利益を見て意思決定することになる。また、企業内部の資源配分に当たっても、会計利益は経営者の判断に利用される。
３つの機能は、それを果たすために異なる特性を備えておくことが前提となる。第一の機能、責任解明メカニズムには信頼性・検証可能性・中立性、第二の機能、利益分配メカニズムは有用性（目的適合性と信頼性）を備えておかなければならない。
これらの多様な要素をすべて企業会計に備えるのは困難であると考えられる。例えば、検証可能性を重んじるあまり詳細な会計記録を完備しようとすると複雑すぎて意思決定有用性が損なわれると考えられるし、公正性と目的適合性は多くの場合両立し難いと考えられる。

問題④
会計利益の果たす代表的な２つの機能とはどのようなものか説明しなさい。

会計利益の二つの機能は、利害調整機能と情報提供機能である。会計利益は、株主・債権者・経営者の間の利害関係を会計利益によって「線引き」できるという機能を果たしている。また、会計利益は企業の業績を評価し、投資などの意思決定に役立つ情報を提供する機能を果たしている。

続きます。