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ゼミナール現代会計入門・演習課題(その3)

ゼミナール現代会計入門 〈第9版〉

ゼミナール現代会計入門 〈第9版〉


本日のお題は第4章「企業のディスクロージャー」です。


問題①
企業が情報を開示する際のコストとベネフィットを具体的に挙げ、それらを比較検討しなさい。


企業が会計情報を開示する際、開示の基となる財務データを作成する経理部門や、ディスクロージャー資料を調整する財務部門など、直接的に開示業務を行う部門のスタッフの負担だけではなく、営業・製造など現業部門でも開示部門からの要請に応えて各種データを作成・報告する負担が生じ、それらは直接的には収益増加には結びつかないことから間接的なコストも発生する。
 また、最近開示が要請されるようになった減損会計や資産除去債務、金融商品時価開示など、複雑な会計基準の開示要件に対応するためには、大規模なシステム投資を要する場合もある。
 企業が情報を開示するためには、上記のようなコストがあるものと考えられる。
 情報開示のベネフィットとして、企業内容をよく知ってもらうことによる適正な株価形成に資するという直接的なものが第一に挙げられる。
また、その制度開示は負担だけであるとも言われるが、実際には、減損会計にあたっての検討により遊休資産の存在が明らかになり、早めの処分が動機付けられるなど、経営改善に資するケースも多く考えられる。さらに、制度開示ではないIR活動にあたっては、「自社の強みと弱み」を経営者が把握し、外部へ説明できるよう整理する必要があり、その過程で得られた情報を経営改善に役立てることができるといった副次的・間接的なベネフィットも期待できる。
情報開示にかかるコストとベネフィットを比較するにあたっては、このような隠れた間接的なものも比較考量する必要があるものと考えられる。


問題②
会社法金融商品取引法にもとづくディスクロージャーを行っている以上、IRなど自発的なディスクロージャーは必要ない」という経営者の発言についてコメントしなさい。

制度開示、特に財務報告部分には独立した第三者の会計監査も実施されることから信頼性は高いが、定型的な事項しか開示できず、経営者の選択の余地は乏しい。
IRであれば様式は自由であり、内部情報に精通した経営者は、投資家にとって有用性が高い情報を自ら選択して開示することが可能となる。
制度開示と自主的なIRはそれぞれ役割が異なり、相互に保管し合うことで企業情報を外部へ発信するものである。制度開示のみで、IRは不要とするのはコストだけに目を奪われた視野の狭い発言であるとも考えられる。


問題③
インターネットなどの電子情報の革新・普及は、経営者と投資家のあいだに存在する「情報の非対称性」の問題にどのような影響を与えるだろうか。各ステークホルダーの立場を考慮しながら答えなさい。


インターネットなど電子情報の革新・普及は、紙ベース開示から電子開示への切り替えによる入手コストの激減、財務報告のXBRL化によるエクセル再入力加工負担の一部軽減など、経営者と投資家の情報の非対称性の緩和にかなりの程度、効果を発揮してきた。しかし、制度開示であれば開示事項は法定されているし、IR資料など任意開示であれば経営者が「選択」した情報のみが開示されるわけで、経営者と投資家の情報の非対称性は全面的に解消しているとはいえない。
 データベース開示も提言されている。これもXBRL化などで標準化され、大量の電子情報を処理できるIT機器により分析できるようになれば、財務情報に関しては情報の非対称性は解消できるものとも考えられる。
 それでも、経営者は財務情報以外の定性的な企業内部情報に精通しているので、この部分は電子情報のみでは非対称性は解消できない。定性情報については、インターネット動画で経営者自らが定期的に報告を行うなどの方法も考えられる。


まだまだ続きます。

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