税金を払わない者への義憤と、その解決策は・・
本日のお題はこちら。
- 作者: 志賀櫻
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: 新書
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タックス・ヘイブン*1とは、南洋に浮かぶ椰子の木の島国というイメージでしたが、ケイマン諸島のようなイメージ通りの国だけではなく、オランダ・スイス・リヒテンシュタインのような小国、あるいはロンドンやニューヨークのオフショア金融センターもそうである、ということから説き始めます。
武富士事件やオウブンシャHD事件、某銀行外国税額控除事件、FATCAなど国際税務に関心を持つものならよく知っている事項がたくさんでてきますが、これは前提知識が無いと理解は難しいかもしれません。
「多額の国費(国民の税金)を投入されて救済された銀行が手数料稼ぎのために国庫に納付すべき税金を他国に納付するなど許されるべきものではない」はいはい規範的主張ですね。ちなみに銀行に投入されていた公的資金は税金じゃないし外国税額控除事件で被告になった某信託銀は全額返済済み
— すらたろう (@sura_taro) January 12, 2014
「日本の課税当局の国際税務の知識は中国並み。英語もろくに読めないのに言いがかりで課税」おいおい...
— すらたろう (@sura_taro) January 12, 2014
筆者は大蔵・財務官僚として長らく国際税務の現場にいた方で、タックスヘイブンに対する義憤から、時に筆が滑って金融業全般を非難したり、日本の国税当局や裁判所の理解不足・能力不足を嘆いたりもしておりますが、交渉当事者であっただけに「生」の現場の様子を興味深く紹介しております。
なぜか、本筋のタックスヘイブンとは無関係な戦争やテロ現場の緊張感とかの記述が面白く、一気に読めてしまいました。
例によって新自由主義と経済学がグリード(強欲)を正当化しているとしてdisられており、ヘッジファンドは益無くして害だとかえらい言われよう
— すらたろう (@sura_taro) January 12, 2014
時にタックスヘイブンやそれを擁護しようとする英国や金融業界への怒りから感情的な記述も散見されます。タックスヘイブンを利用した租税回避の解決策については特効薬も無さそうです。
新書サイズという制約のなかで、これだけ書けたわけですので、ぜひ専門書を(冷静な筆致で)執筆されることを期待したいと思います。