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法定実効税率との差異の原因は?

えー、ツイッターでご質問が来ましたのでかなり専門的になりますが解説してみます。

26年3月期のみずほFG(連結)の税引前当期純利益に対する税金負担率(現金納付額+税効果会計適用による法人税等調整額)は約8%ほどであり、なんだやっぱり税金払っていないじゃないか!というバッシングを受けそうですね。

25年3月期・みずほFG有価証券報告書(PDF)175頁、税効果会計注記
http://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/report/yuho_201303/pdf/fg_fy.pdf


しかし、こちらをご覧ください。
26年3月期・みずほ銀行有価証券報告書(PDF)179頁、税効果会計注記(単体)
http://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/report/yuho_201403/pdf/bk_fy.pdf
フィナンシャルグループの中核であるみずほ銀行(単体)の法人税等現金納付額は25年3月期は200億円、26年3月期は700億円以上あり、税負担率は25年3月期3%、26年3月期は約31%です。


25年3月期は過去の繰越欠損金が残っていたので現金納付額が少ないですが、26年3月期には埋まりきっており、繰越欠損金はありません。
25年3月期の税負担率が極端に少なく見えますが、下記のような要因ではないかと推測されます。


繰延税金資産の回収可能性は、一時差異(会計と税務の差異)が無税化するスケジューリングと将来課税所得の見積りで決まります。


教科書的な税効果会計の理屈では、毎期の税引前当期純利益に対する法人税等合計(現金納付+法人税等調整額)の比率は法定実効税率にほぼ一致するはずです。


しかし、上記の回収可能性判断のうち、将来課税所得の見積りが業績向上により大きくなると、繰延税金資産が積み増しされ(法人税等調整額の減少)、法人税等合計の当期純利益にたいする割合は法定実効税率よりも小さくなります。


また、見掛け上の繰延税金資産は積み増しされていないように見えますが、これは有価証券評価差額(含み益)が大きくなり、それに対する繰延税金負債と相殺され、積み増しされていないように見えるわけです。




なるほど、わからん。

税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務

税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務

会計実務家向けの専門書ですが、こちらが最近のテキストの中ではベストではないかと。

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