すらすら日記。

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事業再生と税負担の公平のお話。

少し前になりますが、競争条件と租税制度をめぐるこんなお話がありました。


JALが経営破綻し、更生計画認可後に繰越欠損金が約9,000億円発生。
繰越欠損金はその後の所得と相殺することができるので、法人税負担が減少。
これを捉えて、ライバルのANAが「不公平ではないか」と苦言を呈したりしておりました。


繰越欠損金は、人為的事業年度で区切られた法人の事業に対し、課税が中立であるために設けられているとも言われています。完全に中立となるためには時間的価値分の利息が付いた繰戻還付制度と期限切れ制度の撤廃も必要とされます。
JALの場合は、更正手続に伴う債務免除益と期限切れ欠損金の相殺という、起業再生の場面に限って認められている規定が適用されました。


もし、JALが別法人(新設法人)として出発すれば、この繰越欠損金は存在せず、競争条件はANAとなんら変わらなかったものと考えられます。


これは、ANA経営陣が言うような「不公平」なのでしょうか?


高橋祐介名古屋大学教授「事業再生と法人課税」から引用します。

会社更生……民事再生等の手続における期限切れ欠損金の優先利用は、新設法人との同等性や税負担中立性を阻害する。
……税はすべての市場参入者が負うべきハンディキャップであり、特定の者に対する税の軽減は、市場競争自体を破壊し得る。税は、公正な市場競争の一要素であり、税法は私法秩序の一端を担っている。

引用元はこちら。

租税法と市場

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