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すらすら日記。

すらすら☆

銀行の「逆ザヤ」をめぐる解釈について。

金融

昨年の春辺りから、「銀行の総資金利ザヤが『逆ザヤ』に!」という記事が散見されるようになりました。
例えば、これらです。

三菱UFJ銀、国内「逆ざや」 14年3月期は低金利で伸び悩み :日本経済新聞

銀行に「逆ざや」?-銀行の「逆ざや」、生保の「逆ざや」 | ニッセイ基礎研究所


これらの記事には、「預金を集めても貸出金や運用(有価証券利息)では利益が出ない」というような解説が書かれておりますが、これはあまり正確な表現ではありません。
なぜ正確ではないかといいますと、収益と費用がきっちり対応していないからです。


資金利ザヤの計算のうち、収益に当たるものは記事の通り「貸出金利息+有価証券利息配当金」です。
費用に当たるものは、預金利息などの「資金調達費用」+「経費」(人件費+物件費+租税公課)であります。
収益に当たる部分は記事の通りなのですが、経費の中には、近年盛んになりました投資信託や年金保険にかかるシステム投資の保守費や減価償却費(これらは物件費)も含まれておりますし、人件費の中には投資信託や年金保険に専ら従事する行員の給与も含まれています。
また、収益の中には入らない債券等売却益や株式等売却益に対応する有価証券運用にかかるシステム経費、人件費も含まれています。
さらに、資金調達費用の中には、財務会計上は利息費用として表されますが、バーゼル規制上は資本扱いの劣後ローンや劣後社債の利払いも含まれています。


資金利鞘という財務指標は、銀行の業務が伝統的な預金を集めて貸出金へ回し、余資は債券や短期金融市場で運用し、役務収益などは付随的なものであった時代の名残ともいえます。
収益と費用の対応関係がきっちりしていないため、すぐさま「逆ザヤだ!」と騒ぎになるような重要な指標とも言えなくなっていると考えられます。


銀行内部の管理会計上はもう少し収益費用の対応関係を考えた上で採算の管理が行われております(管理会計は統一されたものではなく、銀行によりバラバラです)。


それでも、総資金利鞘が赤字というのはやはり重要な事態であると考えられます。


いつものようにすべて公開情報であります。
詳しくはこちらをどうぞ。

銀行経理の実務

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