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すらすら日記。

すらすら☆

政府からサービスを受けられないから税金を払いたくないというお話。

日本の租税負担率は世界的に見てかなり低い方であるにも関わらず、消費税率引き上げには強烈な反対が巻き起こります。
また、日本では「自分が払っている税金が重い」とする痛税感・重税感が国際的な統計でも国内の統計でも極めて高く、これが増税に対する抵抗感を強めております。
なぜ日本においては「租税抵抗」(税金に対する抵抗活動)が極めて強いか、かねてより疑問を持っておりましたが、こちらを今回読んでみましたので紹介いたします。

痛税感・重税感は、払っている税金の絶対的な大きさにはさほど影響されず、税金によって賄われる政府からの公共サービス受益に見合っていないという感覚に大きく左右されます。
日本の政府支出、特に個人に直接給付される社会保障は高齢者層だけに著しく偏っており、社会の多数を占める現役層には極めて薄く、公共サービスを受けているという「実感」が極めて薄いためであります。

また、生活保護など、「困っている人」に対する給付は所得や資産の厳しい調査後に選別的に行われます。これでは、多数の「困っていない人」には無関係で納税のモチベーションは起きるはずもありません。

著者らは、「困っている人」だけに選別主義的に行う社会保障ではなく、「困っていない人」も含めて普遍的な社会保障を行い受益の実感を得ることでこの租税抵抗を緩和することを提言していており、その財源としては空洞化している所得税の再生を挙げています。
また、戦後長らく企業正社員の社会保険料に依存し、職域別に組み立てられている社会保険制度はもはや持続不可能で機能不全を起こしており、国民全体を包含する制度へ改革すべきとも。
受益者負担の名目で自己負担額を際限なく増やす小手先の制度改革は、ますます弱者に厳しいという指摘も当を得ているかと。

著者らの現状認識や提言に全面的に賛成はできません。
特に、所得税は高所得者層ほど租税回避が容易で空洞化解消は極めて難しいと考えられるため、やはり消費税に期待するしかないのではないかという点は大きく相違します。

まだ30代前半の若手財政学者による面白い1冊です。
この問題に関心のある方にはぜひお勧めしたいと思います。

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