すらすら日記。

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自分が「納税者」であるという自覚はありますか。

本日のお題はこちら。

日本の納税者 (岩波新書)

日本の納税者 (岩波新書)

所得税が給与から概算で天引きされる源泉徴収制度は世界中にありますが、年末にその精算まで給与支払者(勤務先の会社とか)が行ってしまう年末調整制度は日本独特のものです。
このため、普通の勤め人は自分の税金がいったいいくらなのか、ほぼ知ることはありません。
勤務先から源泉徴収票をもらっても、ほぼその見方がわからないとか。

これでは、税金の使い道に関心を持てというのはなかなか難しいです。

また、最も身近な税金とも言われる消費税ですが、この消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者であり、法律的には消費者自身が払っているお金は「消費税」ではなく、対価の一部に過ぎません。
そのため、消費者自身が、法的に消費税の問題点を裁判で争うことは不可能になっています。

そして、納税者の権利を守ることが期待されるはずの専門家として弁護士と税理士が挙げられますが、弁護士は複雑怪奇な税法には通じておらず*1、税理士は税金の計算には強いものの法的な思考には弱く、税務当局が書いた通達や解説書が頼りという状態。

著者の三木義一教授(弁護士でもあります)は、このように税に関しては権利が弱い状態に置かれている国民に対し、主権者にふさわしい納税者権利憲章を制定することなどを提言しております。

民主党政権下で行われた国税通則法などについては、民主党が果たした役割について著者は過大評価しているのではないかと感じられる記述もありますが、「税金」について知る1冊としてお勧めしたいと思います。

*1:司法試験に選択科目として租税法が入ったのはごく最近。ただし、近年は租税訴訟に強い弁護士も一部、出てきております。

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