偽りの「リベラル」にも左右の極論にも与せず、自分で考えるために。
本日のお題はこちら。
リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門
- 作者: 井上達夫
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: Kindle版
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「リベラル」=表面では弱者の味方だ、公平・公正を重視するなどのきれいごとを言いながら、裏では大衆を軽蔑し、自説のためには虚言も弄する偽善的なエリート。
リベラルというは、朝日新聞記者、ネットでそういう言動を張る知識人たちなどに象徴される、とにかく胡散臭い連中だというのが社会通念になりつつあるようです。
著者は難解な法哲学書をたくさん書いている学者でありますが、本書はインタビュー形式で平易に、その胡散臭いインチキリベラルとは異なる本当の「リベラリズムの原理を一般市民にもわかるように説き、リベラリズムの価値を擁護するため」に書いた冒険の哲学書です。
平易、といいましても、集団安全保障・憲法問題など時事的な話題である第一部はともかく、第二部は予備知識がない私にはかなり難しいかったです。
「真のリベラリズムとはこういうものだ!」という著者による確定的な答えを書いてある本ではありません。
ハッとさせられる一文が多いのですが、それは実際に本書を読んでいただいて、ご自分でぜひ考えていただきたいと思います。
社会にはいろいろな不正義がまかり通っているように見えます。
それに対し、左右の極端な意見にも、正義など無いという価値相対主義にも与せずに考えるためのヒントが満載の面白い1冊です。