脱税をめぐる人間ドラマのお話。
本日のお題はこちら。
- 作者: 上田二郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/02/04
- メディア: Kindle版
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税金はまじめに払っても誰も褒めてはくれませんし、誰もが逃れたいと思っています。
税金を逃れる「方法」にはいろいろあります。
現金での売上を帳簿に書かないで除外したり、架空の経費を計上してりして浮かせたお金を借用名義の口座に隠したり、金の延べ棒に変えたり・・という非合法の手段。
ウソの税務申告をしたり、そもそも申告自体をしないケース。
また、事実を隠したりウソの言ったりはしないものの、様々な法律・金融・会計テクニックを用い、課税される条件を巧みに逃れることにより合法的に税金を逃れる手段。
前者は、違法な行為であり、脱税とも呼ばれます。
後者は、合法的な行為であり、租税回避とも呼ばれます。
この他に税法をうまく適用して行われる「節税」などと呼ばれるものもありますが、いずれも法律の規定に書かれているものでは無く、学説上の分かれ目であります。*1
本書は、脱税に対する税務調査について、現金による売上げ除外をする美術商、調査を巧みに拒絶する弁護士、架空給与を計上する司法書士、ペットの去勢手術売上を隠す獣医師、真のボスは出てこない風俗産業経営者・・など、いろいろな場面ごとに物語風に書いております。*2
「なんとなく怪しい・・」という場合でも、明確な証拠が無い限り納税者に脱税をしていることを認めさせることはできません。
調査では、ちょっとした幸運やきっかけで脱税の証拠を掴み、本人に認めさせる場面など、面白く読めました。
難しい税法の規定はまったく出てきません。
アップルやグーグル、スターバックスなどの大掛かりな租税回避スキームや、現在、最高裁に上告中のヤフージャパンによる組織再編を利用した租税回避などとはまた一味違う、人間ドラマとして楽しめる1冊です。