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税務調査は「体力と勘」勝負という時代もあった?

本日のお題はこちら。

国税局資料調査課 (SPA!BOOKS)

国税局資料調査課 (SPA!BOOKS)

税務調査といいますと、黒服の男たちがどどっと乗り込んできて、有無を言わせず金庫を開け、帳簿をひっくり返す・・というイメージがあるかもしれません。

いわゆる「マルサ」が、裁判所が発行する令状に基づいて強制的に脱税調査ができるのに対し、日常的に行われている税務調査はあくまで「任意」であり、犯罪調査のために行われるものではありません。

もちろん、任意の税務調査といいましても、税務職員には法令で質問検査権が与えられていて、納税者等はそれを受忍する義務があり、これに反すると罰金なども課されるため、事実上の強制力を持っているとされます。*1

本書は、国税局資料調査課、リョウチョウ、隠語で「コメ」とも呼ばれる最強の税務調査部隊の実態を紹介しております。
資料調査というと地味な印象を受けますが、国税の調査の武器はなんといっても情報。
様々な提供元から蓄積された「脱税の疑いのある納税者」の資料を元に、調査する優先順位を決めて踏み込む・・というわけです。

悪質な脱税を企む納税者と対峙する税務調査の現場はまさに戦場です。


「コメ」では、法令解釈の知識よりも、激務に耐えられる体力と、組織に受け継がれる調査のテクニック・勘などが重視されているようです。
税務職員は、質問検査権のなんたるかもあまり研修を受けないとも書かれていますが、これはほんとうでしょうか?

国税通則法改正で納税者の権利も強められ、租税回避行為はどんどん「スマート」になっております。


元「中の人」の本ですので、守秘義務もあってどこまでほんとうかはわかりませんが・・

著者は、近年税務職員の能力が衰えている原因を「ゆとり教育」「女性の進出」などと決めつけているようですが、スマートな脱税にはスマートに戦う必要があるのではないでしょうか。


*1:根拠法が異なりまして、マルサは国税犯則取締法という明治時代に制定された漢字カタカナ混じりの法律であり、任意調査は国税通則法やその他の租税手続法・実体法が根拠になります。

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