社会保障制度を議論する前の基礎データを知るために。
政策のあるべき姿を論じる対話がSNSなどでもさかんに行われていますが、基礎となるデータの共通の知識が無いために、議論のすれ違いが目立つのは残念なことです。
政府は政策を立案するために膨大な統計データを集めて分析しています。
しかし、仕事を持つ市民がそれをすべて読みこなすのはなかなか困難・・
今般、政府税制調査会の会議資料で良いまとめを見つけましたのでご紹介。
就労支援、社会保障制度などライフステージに対応した各種支援施策の現状(PDF)
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/09/24/27zen21kai2.pdf
税制調査会への厚生労働省による報告資料です。
例えば、非正規雇用が全雇用者の約37%(約2,000万人)で、さらに非正規雇用労働者の18%(全雇用者の約6%)が本当は正規雇用に付きたいのに、不本意な非正規雇用。つまり、約300万人もいるわけです。*1
母子家庭の約8割が就労していて、その半分は非正規雇用。
平均年収は、社会保障手当も含めても、220万余り。ほぼ貧困ライン
また、社会保障給付のうち、年金が56兆円、医療が38兆円、その他社会保障が23兆円。
高齢者給付に著しく偏っている。
その他、若者就労支援策や年金制度の内容など、諸外国との比較も交えつつ、現在の政策がひととおり解説されています。
この内容を自力で知ろうとすると、厚生労働白書をはじめ、膨大な一次資料を読まなければ難しいですが、このPDFファイルは約60頁あまりで、手軽に基礎知識を学ぶことができます。
世代間不公平への厚生労働省の独自見解も書かれておりますが、*2思い込み・先入観によるのではなく、まずは議論の前提となる基礎データを知るためにおすすめします。
資料全体はこちら。
第21回 税制調査会(2015年9月25日)資料一覧 : 税制調査会 - 内閣府
追記:資料を読み誤っておりましたので、不本意非正規雇用の数字を「約300万人」へ訂正いたしました。ご指摘ありがとうございます。