誰がルール外の事例を判断する?
J-SOXの時代を経て、上場企業なら相当程度の内部統制が整備されるようになりました。
また、会社法でも内部統制の強化が叫ばれておりますので、上場企業で無くとも、ある程度の規模の企業なら、それに見合った業務分掌とかが定められ、誰の権限で何ができるかという明文のルールが定められていることでしょう。*1
そういう企業では、明文化された社内手続がかなりの程度整備されているので、日常発生する事務についてはほぼ「やり方」が決められております。
初めてその業務を担当する方でも、その手続きのとおりにやればだいじょうぶなわけです。
一方、その手続きは「完備されたもの」ではないので、ありとあらゆる異例ケースを網羅しているわけではありません。
財務諸表作成は、「慣習と個人的判断の集積」とも呼ばれると聞きます。
社内手続きは、明文化できる会計慣行と、個人的判断が分かれるところでどちらを選択すべきかを示しているはずなのですが、それは完全なものではあり得ません。
必ず、「想定していない事態」が発生します。
明文化されたルールが無いがゆえに戸惑っている場面を見て、内部統制システム構築の効果があがったと感ずるべきなのか、それともルール外の事例が起きた場合に判断の指針となるべきバックボーンの不在を憂うるのか。
そんなことも、時々感じております。