取締役は何を取り締まっているの?
ここしばらく、コーポレート・ガバナンスについて勉強しております。
いろいろ読んで少しづつ見えてきたのが、同じ言葉を使っていても定義が異なるため、なかなか利害関係者の間でも話が通じにくい、という問題です。
同じ取締役会という会社の機関であっても、日本と米国、欧州ではなかなか役割が異なるようです。
本日取り上げますのはこちら。
取締役会の仕事 先頭に立つとき、協力するとき、沈黙すべきとき
- 作者: ラムチャラン;デニスケアリー;マイケルユシーム
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/12/16
- メディア: Kindle版
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米国では、取締役会は経営者を「モニタリング」するための機関であるという性質が強いようです。
日本、特に割合が高い監査役(会)設置会社では、取締役会は経営者と一体で、経営執行も兼ねているケースが多いと思われます。
これを米国型のモニタリング・モデルの取締役会に対し、マネジメント・モデルの取締役会であるとされる、と。
ただ、日本でも社外取締役が事実上、義務付けられるなどモニタリング・モデルとマネジメント・モデルの混合形になりつつあるとも。
本書は、主に海外の著名企業の取締役会のケースをいろいろ紹介しております。
やはりモニタリングモデルの取締役会を前提としているものですから、読んでいて、自社には合わないな、と感じてしまいました。*1
東京証券取引所に上場している企業のうち、外国人投資家が占める割合はかなりのものです。
特に、JPX日経400採用銘柄では、30%以上が外国人という会社は約4割にものぼります。*2
外国人が、取締役会というものに何を求め、期待しているかが本書でなんとなく見えてきました。
日本でもモニタリング・モデルとマネジメント・モデルとの混合形になりつつある今日、参考になるのではないかと思われます。
*1:そもそも、規模が大き過ぎるし、出てくるのは主に国際的に活動する企業が多いです。
*2:出所: http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jb0-att/white-paper15.pdf