すらすら日記。

すらすら☆

銀行再編の20年をコンパクトに紹介するお話。

本日のお題はこちら。

1995年~2015年の20年間における銀行の再編について、日本経済新聞の記者によってまとめられたものです。
大和銀行NY支店における米国債巨額損失事件から物語は始まります。
りそな銀行誕生から公的資金注入を経て、長銀日債銀の国有化と、とーみつ、三井住友、みずほの三大グループ誕生まで。

当時の頭取や金融当局などの回顧録を引用しつつ、ストーリーが展開して行きます。

地銀については大阪銀・京都銀をさらりと取り上げるだけで、それほど深くは論じられません。

その他に、新興勢力であるセブン銀行や、日本振興銀行新銀行東京なども。

どちらかといいますと、制度や組織の推移よりも、人間のドラマに中心をおいておりますので、必ずしも銀行システムに詳しくない方でも読み進められると思われます。*1


私自身は、引用されている回顧録などは7~8割くらい既に読んでおりますし、「中の人」なので著者の見解には必ずしも同意できない部分もあり、それほど新しい知見は得られませんでした。

ただ、「新事実は無い」ということについては、著者はあらかじめ断っておりますし、このページ数(それでも紙の本だと471頁)で銀行再編の20年をコンパクトにまとめているのは、ベテラン記者ならではというところでしょうか。

ある程度、実務経験が長い金融の中の人には新鮮味はないかもしれませんが、銀行でも若手の方、銀行以外の金融業の方、また、金融に関心がある他業界の方にはおすすめできるかと思われます。

私としましては、引用されている回顧録などのなかで3冊ほど未読のものがありますので、これから読み込んでいこうかと思います。

なお、本書を読んで、銀行業界に関心を持ちましたら、まずはこちらを次にお勧めしたいと。

「今でも言えないこと」で割り引かれているとはいえ、こちらは当事者ならでは迫真の回想ではないかと。

*1:銀行独特の財務指標の意味や、理論的な銀行制度の仕組みなどもかんたんに解説する部分もあります。

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