「命令されたとおりにやっただけ」という機会を生み出さないためには何を?というお話。
粉飾決算などの不正は、一人の手でできるものではありません。
特に、海外のファンドを使った飛ばし行為や、国内でも複数の特別目的会社や匿名組合などを組み合わせた複雑なスキームを利用する粉飾の場合、不正は経営者だけでは不可能であり、伝票を切り、システムに入力し、監査の目をごまかすために表面的な証憑を整理する、実行者・協力者が必要になります。
不正が発覚した際、よくこういう声が聞こえます。
「俺は命令されたとおりにやっただけだ!不正の一部だとは知らなかった」
不正の協力者にされてしまうのは、命令されればその意味を考えることもなく、言われたことを実行する人間でしょう。
通常の商取引では発生し得ない、イレギュラーな伝票を起こすように指示されても、特に疑問を感じることもないような方。
不正が起こるのは、「動機・機会・正当化」のトライアングルが成立した場合と聞きます。
命令を実行するだけの思考停止スタッフは、不正を働こうとする経営者にとって、実行の「機会」を提供することになります。
「引き継ぎでそう言われました。なぜ、こうしているかはわかりません」
そんな声を聞く度、どうすれば「機会」を潰していけるのか、考えております。