「人間はインセンティブと性格の奴隷だ」というお話。
本日のお題はこちら。
- 作者: 冨山和彦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/08/12
- メディア: Kindle版
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原著は2007年出版と少々、前ですが昨今、また企業不祥事があいついでおり、その中で「最初は魚は頭から腐るのですが、実際には内臓も、つまり社員も悪ければ、派遣社員も悪い。つまり組織全体が芯から腐っているケースも」という論評も見かけました。
もともとは「魚は頭から腐る」という諺から来ているのでしょうが、この論評には、本書も念頭に置かれているのではないかと。
本書は産業再生機構でカネボウやダイエーなどの事業再生にあたった冨山氏によるものです。
再三、経営層はダメで、リーダー育成・選抜の仕組みから改めなければならないということが述べられております。
その反面、日本企業の強みは現場の名も無き社員たちの優秀さに支えられているとの強い信頼感を表明しております。
「頭から腐る」「内臓も腐る」、どちらが的確でしょうか?
冨山氏は、本書の中で繰り返し述べています。
「人間は、インセンティブと性格の奴隷だ」と。
改革へのやる気がないというのはその人間が愚かだというだけではなく、その方が合理的だというわけです。
例の自動車会社の中の人たちは、倫理観が劣弱だったから不正を働いたらわけではなく、不正を働くことが(少なくとも短期・中期的には)合理的だったということになりかねません。
不正を働くことが合理的というのは理解しづらい、ということを思う方もいるかもしれません。
しかし、私自身、いろいろな不正を見聞きし、組織に属する一員としてわからなくもありません。
その解決には、罰則強化やコンプライアンス研修などでは対策にはならないでしょう。
いや、根絶は不可能かもしれないというのが、とりあえずの認識です。
企業体質って、いったいなんでしょう。いや、本当にそんなものがあるのか。
また、考えてみることにします。