世界を理解するために、「ミクロ経済学の力」を習得しておきたいというお話。
本日のお題はこちら。
- 作者: 神取道宏
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2016/05/16
- メディア: Kindle版
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2年ほど前に出版されたミクロ経済学のテキストですが、今般、kindle版も配信されましたのであらためてご紹介いたします。
経済学というのは、企業活動やお金儲けなどの実務的・実利的なことに役立てることを主目的にしているものではなく、また、国家社会のあり方など規範論を述べることをメインにしているものでもありません。
私なりに定義づけてみるに、経済学、特に本書で解説されているミクロ経済学は
「なぜ、人々はそのように考え、行動するのか」
「なぜ、このような事象が起き、その帰結はどうなるか」
など「考える方のツールの束」ではないかと。
世界で起きているいろいろな出来事について、なぜ、そんな出来事が起きたかは理解できないままで「常識的に考えておかしい」「庶民感覚に合わない」など根拠のない感情論だけで結果を批評してしまうことにも。
その時、本書で学べる「ミクロ経済学の力」=考え方のツールを習得しておけば、「なぜ、人々はそのように考え、行動するのか」「なぜ、このような事象が起き、その帰結はどうなるか」を考えることができるようになります。
ただし、経済学のツールの束それ自体は「世界はどうあるべきか」「なにが公平であるのか」という結論的な規範を与えてくれるものではありません。
それは、ツールの束も手掛かりにしつつ、自分自身で何が正しいのかを考えていくしかありません。
私自身は経済学の専門家ではありませんが、勉強している租税法や会計学の分野でも、かなり以前より、ミクロ経済学の基礎的な考え方は共通して使用されています。
「ミクロ経済学の力」は、何か物事を論理的に考えてみたいという人々にとって、共通のツールになっていると言えるでしょう。
本書は、決して入門者向けの易しい本ではありません。
しかし、厳密・明晰な文章、図表やグラフによる直観的理解の助け、数式による証明などを駆使し、価格理論、ゲーム理論、情報の経済学までカバーし、必ず現実世界との関わりも解説し、読んで楽しく、ワクワクしてくるテキストです。
ぜひ、おすすめいたします。
なお、まったくの初学者で、本書を経済学の勉強の最初の1冊にしてしまうのはつらいので、学部1年生向けのテキストであるマンキュー入門経済学や、伊藤元重教授の「入門経済学」をざっと読んだうえで本書に進まれれば、それら入門書でよく理解できなかった部分も解決できるかと思います。
- 作者: N.グレゴリーマンキュー
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: 単行本
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- 作者: 伊藤元重
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2015/05/14
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