すらすら日記。

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会計不正は偉い人だけでは完結せず、実行者がいるというお話。

本日のお題はこちら。

内部告発の時代 (平凡社新書813)

内部告発の時代 (平凡社新書813)

本書はオリンパス粉飾決算内部告発した方と、それをFACTAに持ちこんだ記者による手記です。

オリンパスの会計不正については多くのことが雑誌・ネット記事、単行本で発信され、私もだいぶ読んでいろいろ書いておりますので、いまさら付けくわえることはいたしません。

本書でも、新しい事実関係などは明らかにされているわけではありません。

一つだけ、本書を読んで気になりましたことを。


オリンパスに限らず、大規模な粉飾決算は経営者の自己保身の動機から始まりますが、社長や財務担当取締役など偉い人( )だけでは完結しません。

「不正の絵を描く」のは上層部でしょうが、帳簿に不正な仕訳を記録し、それを糊塗する取締役会資料などを作成する実行者が必要になります。

オリンパス事件でも、不正にかかわったとして17人の幹部社員が調査を受けておりますが、実際に処分を受けたのは一人が降格処分になっただけで、おとがめなし。

「経営刷新」がなされた後も、それら不正の実行者たちは幹部の地位を維持しているとのことです。

オリンパスでは長年に渡り不正が継続されてきたため、本社管理部門では、経営陣の命令に忠誠を誓って不正に協力するか、見て見ぬふりをするか、そもそも会計や財務の知識が無く不正が行われていることに気付かない者だけになってしまっていたとも。

わかりつつも不正に協力するよりも、無知で命令に従うだけの方が、会計不正の誘惑に駆られる経営陣には「使いやすい」とも思われます。

今は、まだ経営刷新がなされて日が浅いため、緊張感があるでしょう。

しかし、また気が緩んで、その時にまた会計不正の誘惑に駆られた場合、いくら会社法上の機関で牽制を効かせようとしても、実行者に不正を働いている意識がなければ、それは通りやすくなってしまうとも感じております。

人も組織も、緊張感をそんなに持続できるものではありません。

その時、無知で考える能力も無い部下がいたら、不正な指示を出すことに躊躇うでしょうか。

そんなことも感じております。


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