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すらすら日記。

すらすら☆

「地域銀行が本業では経費を賄えなくなってきている」という報道について。

昨日、日本銀行から金融システムレポートが公表されました。
金融システムレポート(2016年10月号) :日本銀行 Bank of Japan

これを受けまして、報道各社はレポート内容を要約して報道しておりました。
報道内容としては、NHKなどによる「銀行による不動産業向け融資が増加、これを注視する必要あり」というものと、「地域金融機関の半数が本業では利益で経費を賄えなくなっている」というものが目に付きました。

このうち、後者につきましては報道記事では説明が不足しており、金融システムレポートの内容を正しく伝えておりませんので、以下で少々、補足しようと思います。

報道されていた部分を引用しますと、こちらになります。

実際、地域金融機関を中心に、預貸金収益と役務取引等利益では経費を賄えない金融機関が増加しており、信用コストが何らかのショックで上昇した場合、コア業務純益ではカバーできずに赤字に陥りやすい状況になっている(53頁)

こちらを28年3月期決算短信から財務データを拾って検証してみました。
例として、長崎県十八銀行高知県四国銀行を取り上げております。

十八銀行 四国銀行
貸出金利 収益(+) 19261 21053
預け金利 収益(+) 95 75
役務取引収益 収益(+) 6852 6874
金利 費用(△) △ 1089 △ 1401
役務取引等費用 費用(△) △ 3373 △ 1984
預貸金等利益 - 21746 24617
経費(人件費・物件費・税金) 費用(△) 23567 24885
差額 - △ 1821 △ 268
(参考)有価証券利息配当金 収益(+) 10291 10066

日本銀行の定義によりますと、確かに預貸金利息差額+役務取引等利益では経費を賄えなくなっています。
しかし、この計算ではいちばん下の欄に記載しました100億円程度の有価証券利息配当金を無視しております。
もちろん、両方の銀行とも赤字ではありません。
十八銀行は6,575百万円、四国銀行は6,309百万円の黒字を確保していますね。

この計算は、銀行の損益計算書から一部の項目を抽出して並べただけで、何度も繰り返し報道される「金利が1%上昇すると保有する国債に●兆円の評価損失」と似て、「計算しただけ」です。

もちろん、貸出金収益は利回り低下により年々、細ってきております。

そのことは淡々と事実として指摘し、対応策を考えるべきであって、数字遊びのような警鐘にあまり意味があるとは思えないのですが・・

状況が非常に悪いことは当事者である地域金融機関もしっかり自覚しているはずなので、事実に基づいた対応策を立案していくことでしょう。

そのためには、一面的な報道により惑わさなければいいのですが・・


【追記】
なぜ金融システムレポートでは、「有価証券利息配当金を含めないで経費を賄えるか」ということを警告しているか推測してみます。
マイナス金利導入後、もはや新規の債券投資ではプラスの利回りは難しいことと、
以前より有価証券利息配当金には非上場投資信託の解約差益が相当程度、含まれておりこれは市況に大きく左右されるためではないかと。
執行部の金融政策を正面から否定するわけにはいかない制限のなか、金融システムレポートをまとめた日本銀行事務局の苦しさも読みとれるような気がします。

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