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会計の入門書・基本書の使い分けについて。

それぞれの分野において、学部教科書に指定されていたり、社会人の独学に向くとされる定番の「基本書」「入門書」と言われる書物が存在します。

会計の分野においても、定評ある基本書をいくつか挙げることができますが、それぞれ「クセ」があり、他の分野を専門とする方が順番を間違って読み始めたりするとぜんぜん理解できず挫折しちゃうことにも。

タイトルに「会計入門」とか書いてあっても、とてつもなく難解な上級者向けの書もありますから要注意ですよね。

定番とされる会計の入門書・基本書のそれぞれの「クセ」をご紹介してみます。

財務会計講義(第18版)

財務会計講義(第18版)

神戸大学の桜井久勝教授の「財務会計講義」。名著の誉れ高く、基準改正を取り入れてほぼ毎年改定されています。
学部の講義でも基本書になっていることと思われます。

本書、確かに名著なのですが、説明がシンプル、仕訳による設例も最低限のものしかありません。
周りに説明してくれる人がいない中で、独学でこれを理解しようとするのはつらいかもしれません。

最低限、簿記2級程度の会計知識があって、実務でも少し会計に触れる機会があるという方でなければ難しいでしょう。

一通り会計はやったけど忘れてしまって復習したいという方、実務は詳しいけど理論は弱いという方が読めば、その説明の的確さで目から鱗が落ちるような感覚も得られるかもしれません。

名著ですが、読み手を選ぶ基本書かもしれないですね。

財務会計(第13版)

財務会計(第13版)

早稲田大学の広瀬教授の「財務会計」です。
こちらは、財務会計講義の約2倍くらいの厚さで(約800頁)、説明はかなり詳しいですね。
なぜそうなるのか、という理由づけも書かれておりますし、仕訳による設例も多数、おかれています。
会計の理論だけではなく、簿記も同時に学べるように工夫されたテキストです。

説明は詳細ですが、難点はやはりボリュームです。
忙しい実務家が会計を学ぶ必要に迫られて通読するにはハードルが高いかもしれません。
手元に置いて、実務で調べる必要が出てきたら辞書のように使うというやり方も良さそうですね。

新・現代会計入門 第2版

新・現代会計入門 第2版

一橋大学の伊藤邦雄教授による「現代会計入門」です。
こちらは経理担当者向けでは無く、簿記会計の説明は最小限しかありません。
経理以外の企業実務家でも必須の知識である会計の素養を身につけられるよう、実際の企業名も挙げてトピックを取り上げております。
財務諸表を作るのではなく、読めるようになるための会計の基本書ですね*1
経理部門では無い方で、会計の基礎的な素養を付けたいなら、本書がいいのではないかと思います。

なお、いずれも「手っ取り早く会計を理解したい」という方向けの付け焼刃のノウハウ本ではありません。

じっくり腰を据えて勉強しなければならない本であることは同じですので、そこはご留意ください。


*1:ただし、財務指標の分析は最小限しかありません、別途、「企業価値評価」という本も出ています

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