民間銀行は日本銀行からどんな資金を借り入れている?
お題箱にこういうご質問が来ました。
現在、銀行が日銀から準備預金を借りる金利は0.3%ですが、インターバンク市場ではマイナス金利で調達できます。日銀の決算書を見ると日銀貸出の残高が34兆円位あります。なぜ銀行は市場で借りて日銀に返済しないのでしょうか?そもそも超過準備がこんなに溢れているときに、誰が日銀から借りているのでしょうか?
Twitterでは書き切れませんので、こちらで回答いたします。
民間銀行が日本銀行から借入する場合、補完貸付制度だけでなく金融政策の一環としての様々な貸出制度があります。
代表的なのは、こちらです。貸出支援基金ですね。
こちらの制度融資の目的はこちらです(日本銀行ホームページから引用)。
物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する観点から、金融緩和効果を一段と浸透させるための措置として、バランスシート上に基金を創設し、わが国経済の成長基盤強化および貸出増加に向けた民間金融機関による取り組みを支援するため、適格担保を担保とする資金供給を実施
こちらの適用金利は現在、ゼロパーセントで、残高は2017年3月で37兆円ありますね*1。
確かに、ご質問のとおり、短期金融市場ではマイナスで調達できますが、この制度のように長期ではマイナス金利では借りられません。
そこで、この貸出支援基金の融資を利用して、民間銀行は日本銀行から資金を借り入れているわけですね。
なお、補完貸付制度(0.3%)は、民間銀行が資金繰りに窮し、0.3%という市場レートからみるとかなり高めの金利でも借りなければならないという場合の利用が想定されており、平常時では使用されておりません。
補完貸付制度は、積み期間(1カ月)に5営業日までしか0.3%で利用できず、それを超えるとさらに高めのペナルティ金利が課されますね。
ということで、お題への回答といたします。