すらすら日記。

すらすら☆

独立起業しつつあるという「幸福な状態」について。

世の中には、会社組織に属している方々に対し、現状に対する不満や、将来に対する漠然とした不安につけ込んで、会社を辞めて独立起業しろと煽ることを職業にしている人物が複数、存在します。

煽りに乗って、なんの準備もなく、甘い見通しで独立起業したものの、事業としてまったく成り立たず消息不明になっている方も多いとか。

常々、なぜ浅くて無責任な煽りに乗ってしまう人がいるのだろう・・と不思議に思っておりました。

そんな時、図書館でこの本を見かけ、「煽りに乗ってしまう人」の心理がわかるかもしれないと思い、手に取ってみました。

会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業 (アスカビジネス)

会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業 (アスカビジネス)


著者の名誉のために言いますが、本書はどこかの扇動家のような煽り本ではなく、ちゃんと準備してから・・ということで極めて常識的なアドバイスが書かれておりました。

本書のなかに、起業セミナーというのが出てきます。起業セミナーというのは、実際に起業して成功した方を講師として、独立志望の方々が講演を聞いてモチベーションを上げる・・というものらしいです。

著者は、起業セミナーに通い詰めるがさっぱり独立しないという状態を「時間とお金の無駄だ」ということで諌めています。
また、異業種交流会の名刺交換なども、時間も懇親会の費用(!)をロスするばかりで、起業にはつながらないと。

本書を読んでから、「起業セミナー」で検索してみました。
そうすると、広告宣伝の次に出てくるのはこちらの記事。
lets-business.com


この記事を読んで、なぜ無責任な扇動家に引っ掛かってしまう人々が後を絶たないのか、そういう扇動が職業(セミナー講師やサロン主?)として成り立つのかという疑問がなんとなく解けました。

その答えは、皆さん自身で考えて欲しいのですが、私としては、前に聞いた、新興宗教の信者になる人々は、同じ人間たちが別の宗教のところをグルグル回っているだけで、その度に騙されて搾取されているという話を思い出しました。

新興宗教は、細かい狭義の違いはあれ、おおむね次のように唱えます。

教祖である私は真理に到達した。
信者たちは選ばれた人間なのだ。
もうすぐこの汚濁に満ちた世界は破滅する。
信じることで別の世界へ行き、救済される。

でも、世界の破滅はやってきません。信者たちは、今度こそ本物の救世主だ、自分が選ばれて救済されると信じて次々と新興宗教を渡り歩く。
起業セミナーに通い高額な受講料を払って一時の起業意欲を刺激され、異業種交流会の懇親会で酔って一時的にカタルシスを得る。

似ているな、と感じました。

一時的にせよ、満足感を得ているのは、救済(独立起業)という結果ではなくて、「救済されつつある、独立起業しつつある」という「状態」なのかもしれない、と。

私としては、根拠の浅い煽りで人々からお金を巻き上げるセミナー講師やサロン主などは、社会にとって害悪であり、その無責任な言動は糾弾しなければならないと思います。

でも、「幸福」が到達すべき結果ではなくて、毎日の暮らしの「望ましい状態」であることも考えれば、セミナー講師やサロン主に搾取されている人々も、主観的には不幸ではないのかもしれません。



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