すらすら日記。

すらすら☆

言葉の正確な用法と、専門外の人々への態度について。

厳密な定義がある専門用語が存在する会計や税務の仕事に長いこと就いておりますので、間違った言葉の使い方をされるととても気になります。

制度会計では、不特定多数の投資家に対して財務報告の開示を行いますので、投資家が誤解や誤誘導をしないように厳格な言葉の使い方をせねばなりません。
ある事象・ある取引に対しては対応する専門の言葉があり、決まった用法で使わなければならないので、言葉の用法にはとても気を使ってきました。

会計や税務に限らず、専門外の人々にとって、似たような言葉の厳密な区分はわからないでしょう。
その言葉の用法が不正確だからといって、専門従事者と同水準の厳格さを求めるのは、酷であるというものです。

専門外の一般の人々が、不正確な言葉の使い方をしているとして、専門従事者があからさまに無知を嗤ったり罵倒したりすれば、その分野に触れることに対して萎縮効果が起きてしまったり、その専門従事者や分野そのものへの反感を惹起したりしてしまうのではないでしょうか。

ただ、弁護士や大学教授などのある分野の専門家が、その肩書を使って他の分野へ訳知りのコメントを出したり、多数の読者を持つ大新聞が間違った言葉の使い方をしていたら、これはその「権威」により多くの人々へ影響を与えてしまうので、専門従事者から厳しく批判されるべきでしょう。

たとえば、会社法専門の大学教授が、TVに出演して専門分野外の法令や制度に無知と誤解に基づくコメントを出したり、経済を専門とすると称する新聞が「繰り延べ税金資産」「積み立て不足」などという存在しない用語を繰り返し使用したり。

こういう場面では、的外れなコメントや誤用は厳しく批判されなければならないと考えます。

でも、大きな影響力を持たない一般の人々が、ちょっと背伸びして専門外のことへちょっと触れたら、その道のプロが誤用を正すために飛んできて「バカだ」「無知だ」と罵倒すべきなのでしょうか。



私の知っていることなど、世の中のほんの一部しかありません。

自分の専門外のことはいっさい触れてはならない。

そうなってしまったら、ずいぶん息苦しい世の中になってしまうのではないかと思います。


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