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スルガ銀行・シェアハウス向け融資の処理状況について。

スルガ銀行の2019年3月期決算短信が開示されましたので、シェアハウス向け融資がどの程度まで焦げ付いているのか、その処理状況はどうなっているのか、読み込んでみました。

画像はいずれもスルガ銀行決算短信からの引用です。
www.surugabank.co.jp

まずはこちらをご覧ください。
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シェアハウス向け融資の残高は約2,000億円。その延滞率は約40%です。他の個人ローンの延滞率は住宅ローンで0.3%弱、カードローンで3%ほどですので、シェアハウス向け融資のローンの延滞率が突出して高いことがわかります。

これを金融再生法ベースで分類したのが次の表になります。
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こちらの表は、シェアハウス向け融資約2,000億円に加え、シェアハウスオーナー(銀行から融資を受けている者)が、合わせてスルガ銀行から借り入れしている別のローンまで加えた額2,500億円の内訳になります。
シェアハウス融資を借入するときに1,000万円程度のフリーローンも「抱き合わせ販売」されたとの報道もありますので、これらなどが合算されていると推測されます。

内訳を説明します。
破産更生債権は、もう破産・民事再生など法的手続に着手してしまった債権で、いちばん状態が悪い不良債権になります。865億円。
危険債権は、法的手続きには至っていないものの、約定弁済が滞ってしまっているなど相当程度の危機的状況に陥っている債権になります。510億円。
要管理債権は、シェアハウスオーナー(借り手)とスルガ銀行との間で、約定返済額を緩和したり、金利を引き下げしてるなどまだ返済し続けている債権になります。880億円。

ここまでが「不良債権」で、約2,256億円。
9割が不良債権化していることになります。
正常債権、つまり当初の約定通り返済されている債権は246億円で、わずか全体の1割弱しかありません。

着目したいのは、2018年9月期との変化です。
法的手続き等に移行した破産更生債権は、318億円から865億円で500億円以上増えています。
これは、危険債権が1016億円から510億円減少していることから、債権内容が悪化して振り替わったものと考えられます。

さて、最終処理状況です。
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最終処理である「貸出金償却」は26億円、「債権売却損」が22億円計上されていますが、シェアハウス向け融資は2500億円でほぼ変化しておらず、この最終処分損は別のローンのものであると推測されます。

今のところ、シェアハウス向け融資の最終処理は進捗していないようですね。
ニュースリリースにもありましたが、これから借り手との間でローンの減免交渉が進むのでしょう。

その際、担保の評価替えなどが行われれば追加の貸倒引当金繰入、貸出金償却が行われる(二次ロス)ことも考えられます。
また、減免交渉が不調になれば、競売などの法的手続きに進むことになりますが、一般に任意での回収継続よりも法的手続きに移行すると物件が買い叩かれる傾向であり、ここでも二次ロスが発生するものと考えられます。

シェアハウス向け融資の最終処理は、まだまだこれからです。

引き続き、注目したいと思います。

note.mu



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