経理部のための基本書ガイド。2016年版(財務会計編)
前の記事がだいぶ古くなりまして、紹介した本の改定版もでておりますし、私もいろいろ新しい本を読みましたので2016年度版として更新いたします。
まずは、財務会計編です。
①導入編
- 作者: 國貞克則
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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「決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法」です。
簿記がわからなくても会計がわかる!という触れ込みの入門テキストをよく見かけます。*1
そのうち、貸借対照表と損益計算書(財務2表、ですね)を、仕訳を使わずに図解して説明しているテキストはよく見かけますが、こちらはキャッシュ・フロー計算書まで組み合わせて一体理解できるように説明しています。
もうだいぶ前から「利益よりもキャッシュ・フローが大事」だと言われつつ、なかなかキャッシュ・フロー計算書の見方を説明した会計入門テキストはありません。
kindle版もありますので、手軽に読めると思います。
②基本書編
財務会計の基本書としては、いつも桜井先生の財務会計講義(第17版)を勧めていましたが、こちらは説明が簡潔で、かなり行間を読む能力を求められるという意見も聞きました。
こちら、広瀬先生の「財務会計」をご紹介します。
- 作者: 広瀬義州
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2015/09/30
- メディア: 単行本
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日本の財務会計テキストは、なぜか財務会計の理論と、簿記の仕訳の説明が別々になっているものが多く、理論書では仕訳がかんたんにしか説明されていない・簿記テキストでは理論の説明が弱いという難点があるそうです。
そう言われれば、財務会計講義も理論書なので、仕訳については簡潔な記述しかありません。
本書「財務会計」は、理論と合せて仕訳まで一体で説明することを目指したテキストだそうでして、しっかり説明されています。
そのため、約900ページ弱というかなり厚いテキストになっておりますが・・元は学部向けの基礎テキストですが、実務でも、理解があいまいな部分を辞書のように引いて使えるのではないかと思われます。
2色カラー刷りで、読みやすいです。
③ちょっと発展編
伊藤邦雄先生の「新・現代会計入門」も第2版が出るようです。
- 作者: 伊藤邦雄
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 単行本
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前の「財務会計」が財務諸表を「作成する」側に焦点が当たっているテキストなのに対し、この現代会計入門は、経理担当者だけじゃなく、財務・企画部門の方や、取引先の財務諸表を分析しなければならない営業の方など、広く会計の知識を得たい方に向けて書かれております。
次の、「企業価値評価」とペアになったテキストです。
- 作者: 伊藤邦雄
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本
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「現代会計入門」が主に制度会計を主題としているのに対し、こちらの「企業価値評価」は財務報告を分析して、成長性や安全性を評価するための手法を解説しております。
実際の企業の実例も挙げ解説しているので、馴染みやすいかと。
複雑な数式などは用いられておらず、専門外の方でもじゅうぶん読めると思います。
④IFRS編
IFRSの話題はすっかり騒がれなくなりましたが、実はじわじわとIFRS任意適用は拡大しており、財務報告を作成する・読む・分析する機会がある職種の方ならIFRSの知識は必須であることに変わりはありません。
- 作者: 橋本 尚,山田善隆
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2015/03/17
- メディア: 単行本
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これは超かんたん版IFRS入門テキストです。第4版まで来ました。
何も前提知識が無い方は、こちらから。
エッセンシャルIFRSも第4版まで来ました。
- 作者: 秋葉賢一
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 単行本
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私が思うに、日本語で読めるIFRSのテキストでいちばんだと思います。
第4版では、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」、IFRS第9号「金融商品」までフォローされております。
続きます。
*1:簿記は会計の一部(記帳技術)だと思いますので、これは言葉として矛盾しているのかもしれません。一般に、簿記の学習が退屈だと思われているので、仕方のない部分はあるとは思いますが。