すらすら日記。

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税実務における会計と法学の埋められない思考の差異について。

本日のお題はこちら。

税務判例が読めるようになる―リーガルマインド基礎講座・実践編

税務判例が読めるようになる―リーガルマインド基礎講座・実践編

税法も法律ですから、その解釈には法学の作法が必要なはず・・です。

でも、税法、特に企業会計と密接な関係のある法人税の実務は、圧倒的に会計的思考に支配されております。

22条④の公正処理基準と74条の確定決算主義で繋がってますからね。

また、日常発生するような取引の税務処理については、膨大な行政通達・質疑応答事例・Q&Aなどが国税庁から発信されており、それらをいかに素早く「検索して、事例に当てはめるか」というのが「税務実務に優れている」というのが実態です。

でも、非経常的で特殊な取引(仕訳)が起きた際、それが公正処理基準としてそのまま課税所得計算にも受け入れられるのか、それとか申告調整が必要になるのかという場面では、条文を読み、判例を調べて法的に思考しなければなりません。

企業の経理担当の実務者や、税理士はこの辺りが得意ではないようです。

本書で取り上げられている税務判例は、武富士事件(贈与税)、年金二重課税事件、ホステス源泉徴収事件や、最近の競馬必要経費事件など著名なものばかりで、税法に関心がある方ならどれも知っているものでしょう。

これらに関する税理士ら実務家などの評釈も読んだことがあるのですが、実務家弁護士である著者の木山先生の解説で、「こんな風に読むのか!」と新しい気づきをいろいろ得られました。

残念ながら、著名な租税法学者や大手法律事務所の実務家弁護士の解説は、最近の国際税務などに偏っており、本書に取り上げられているような過去の有名な税務判例の評釈はそれほど多くはありません。

法的三段論法など、法学を基礎から体系だてて学んだ方には常識なのでしょうが、会計的思考に染まっている企業の実務家の発想とは埋められない差異があるようです。

先に挙げたような「税務」にはかなり熟達しておりますので、法学の思考方法も身につけてもう一段、レベルアップしたいと感じております。

法学専門の方で無くてもわかりやすく読めると思われます、私としても繰り返し読み込みたい一冊です。


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