すらすら日記。

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租税法研究「はじめの一歩」に読むべきテキストについて。

お題箱経由で質問がきましたので、お答えします。
大学で租税法のゼミに入りたいと考えています。租税法を学ぶ上でまずこれは読んでおくべきというものがありましたら教えていただけると嬉しいです。

学部3年生でこれから租税法ゼミということであれば・・まずは租税法概説、所得税法法人税法から学ぶのではないかと思います。

ゼミの指定テキストがどの教授の手になるものになるかはわかりませんが*1、共通して基礎を作れるテキストをいくつか・・

①導入編

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法学部で憲法民法、刑法など基本的な法学を勉強してきた学生が、専門課程で租税法を選択して学習を始めよう・・という時にいちばんやさしく学べるテキストです。
著者は税務訴訟を専門とする弁護士の木山泰嗣氏。青山学院大学法科大学院教授でもありますね。
話し言葉で平易に書かれていますし、250ページ弱しかありませんのでサクッと読めます。
租税法の「考え方のサワリ」を理解できます。

②入門編その1

租税法入門 (法学教室ライブラリィ)

租税法入門 (法学教室ライブラリィ)

kindle版もでました東京大学の増井良啓教授による「租税法入門」です。
もとは雑誌「法学教室」に連載されていた租税法入門の記事をまとめて編集したものですので、学部生向けの入門向けテキストとして相応しいかと。
しかし、入門=易しいではなく、かなり考え抜かれて厳密に書かれていますので、すぐには理解できなくても時々振り返って読み直すと新たな発見が得られるテキストだと思います。

③入門編その2

プレップ租税法 第3版 (プレップシリーズ)

プレップ租税法 第3版 (プレップシリーズ)

まさに学部3年生がゼミを選ぼうとするときに・・という設定で会話形式で進みます。これから同じく佐藤英明教授の「スタンダート所得税法」にも進めます。

④入門編その3

よくわかる税法入門 第11版 (有斐閣選書)

よくわかる税法入門 第11版 (有斐閣選書)

おなじくゼミが舞台ということになりますこちら。毎年、改訂版がでます。私の通った大学院の学部ゼミでもこちらがテキストになっていましたね。

⑤ちょっと応用編

租税法 (有斐閣アルマ Specialized)

租税法 (有斐閣アルマ Specialized)

今月出たばかりの岡村忠生京都大学教授の「租税法」です。
基本書ではありますが、入門書ではありません。
端書きにこうあります。

基本的であることと理解が容易であることはまったく無関係である。・・本書は妥協を排してて理論的に詰めた記述を目指した。・・一読すると難解と思われる箇所が生じているかもしれない

はい、かなり難しいです。岡村教授の執筆している第1章の概説部分が「何を言っているのか」が理解できるようになれば、入門者レベルを卒業できた、ということになるかと思います。

これらはいずれも法学分野としての租税法の入門書です。
税務申告実務を行うための計算規定については学べません。
それは会計学の一分野としての税務会計分野になりますので、また別の入門書がありますので、ゼミで学ぶことを確認の上、お選びください。


*1:通説である金子名誉教授(東大系)、清永名誉教授にはじまる京都大系の岡村教授などの学派がありますね。それぞれ微妙に学説に違いがあります。

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