アマゾンの倉庫で働くこと。ジャンクフードで生存を満たすこと。
本日のお題はこちら。
アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した?潜入・最低賃金労働の現場?
- 作者: ジェームズ・ブラッドワース
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2019/03/22
- メディア: Kindle版
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誰かがクリックすると、彼は歩かなければならない。
アマゾンの倉庫。
歩数を計測される機械を腕に装着されて一日中クリックされた荷物をピッキングする絶望的に単調な仕事。
1日平均16キロを歩かされる。昼食は30分だけ。
いつもマネージャーに監視され、ちょっとしたミスを詰られ罵倒されて、尊厳を傷付けられる
定められたペースに追い付かないとペナルティポイント。
ある点数を超えると解雇さえれてしまう。
仕事が終わると、足はむくんで膨れ上がり疲労困憊。
欲しくなるものは、塩分と油分たっぷりのジャンクフードとアルコールだけ。
ブロッコリーを茹でる気力もない。
ストレスでジャンクフード、アルコール、タバコが増える。
炭鉱が廃坑となり、さびれた英国の田舎町にできたアマゾンの倉庫。
900人の雇用を生み、地域が再生できると期待されたのに。
得られたのは時給7ポンド(1000円弱)の人間の尊厳を奪うような単純労働。
イギリス人は耐えられずに辞め、そこを埋めたのはルーマニア人など東欧からの出稼ぎ労働者。
彼らはジャンクフードで生存を満たすのが精いっぱいで、言葉をもたない。
英国人のジャーナリストが実際に働いてみたのが、この世界でした。
低賃金労働者は愚かだからジャンクフードを食ってブクブク肥満し、アルコールとタバコに耽溺すると思っていたのに。
人間としての尊厳を奪われて過酷な労働に痛めつけられれば、ジャンクフードくらいしか逃げ道はありません。
人は、こんなにも弱いのです。
これは2016年に書かれた本です。
アマゾンの倉庫ではピッキングの自動化も進みつつあるとの報道もあります。
最後には倉庫は無人になってしまうのでしょう。
その日、時給7ポンドとジャンクフードで生存を確保していた人々は、どこへ行くことになるのでしょうか。