すらすら日記。

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かぼちゃの馬車をめぐる悪と善の逆転物語について。

本日のお題はこちら。

スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件

スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件

上京した女性に割安な家賃でシェアハウス「かぼちゃの馬車」を提供し、家賃収入は30年契約で空室が出てもサブリースで保証。
自己資金不要ですべて銀行ローンで賄えます。
リスクなく副収入が得られて、ゆくゆくは派遣事業で収入を得て家賃ゼロで女性たちに住まいを提供、社会貢献にもなります・・
夢のようなスキームで、話が旨すぎる・・正常な判断力があれば、気づくはずでは・・?
周囲から見れば、こんなバラ色の話には裏があると気づきそうなものですが、騙されてしまった方々はどこかでその嘘を信じてしまい、シェアハウスの物件を見に行くことすらせずに、1億円ものローンをスルガ銀行から借り入れし、かぼちゃの馬車のオーナーになりました。

しかし、こんな旨い話が長続きするはずもありません。
30年続くはずの家賃保証サブリースは、わずか1~2年で詰まってしまい、かぼちゃの馬車を運営するスマートデイズは経営破綻状態に。
もともと割高な建築見積でローン金額の一部を抜き取られ、シェアハウス入居者の家賃では回らず、新しいカモが借入するローンが前の借り手のサブリース支払いに充てられていただけの典型的なポンジ詐欺スキームだったわけですが。

借り手はサブリースを止められ、スルガ銀行からは返済を迫られて窮し、自殺まで考えます。

しかし、そこに数々の経済事件や反原発訴訟で名を挙げた敏腕の河合弁護士が登場、これは投資の失敗による自己責任に帰すべきものではなく、スマートデイズスルガ銀行が共謀した詐欺・不正事件だとして立ち上がります。
被害者団体の代表を務めたトム氏(仮名)のリーダーシップもあり、河合弁護士とトム氏らはこの機に乗じて二次的な金銭詐取を行おうとする不動産業者、分断をはかるキックバック受領被害者、やる気のない弁護士を躱していきます。
「敵」を資力のないスマートデイズではなくスルガ銀行に絞り、絶対に無理だといわれた前代未聞の「代物弁済的スキーム」でスルガ銀行からローン帳消しを勝ち取るまでの物語です。

本書は、小説風のノンフィクションの体裁をとっており、スマートデイズスルガ銀行は「悪」であり、かぼちゃの馬車のローンの借り手は一貫して騙された「善」の被害者であるという構図は崩していません。
物語として読めば、詐欺にあった善良な被害者が、敏腕弁護士の活躍で悪を懲らす爽快な逆転劇になっており面白く読めました。
ただ、スルガ銀行のビジネスモデルを絶賛し過去の不正通報は見逃した金融庁長官や官僚たち、新しい被害者を連れ込むキックバック受領者、何度も詐欺を繰り返しても最後はするりと逃げてしまうスマートデイズ創業者、顔の見えないスルガ銀行創業家やノルマに追いつめられて不正融資に加担する行員・・このあたりの周辺の物語はほんの少ししか語られません。

河合弁護士が代物弁済的スキームでローン帳消しを勝ち取ったのはほんの一部の被害者のみ。
周囲で見え隠れしていた脇役たちの物語と、まだ救済スキームに乗っていない借り手たちのお話は、この「逆転物語」のあとにも続きます。
創業家への株主代表訴訟の行方やスルガ銀行の再生の先もふくめ、このお話の続きを待っております。

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