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合理的に思考して非合理に戦う普通の軍隊?

本日のお題はこちら。

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書 2243)

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書 2243)

太平洋戦争における日本陸軍の戦法といいますと、上陸した米軍に対し、三八式歩兵銃に着剣して「バンザイ突撃」するものの、自動小銃弾幕の前になぎ倒されてしまった・・というのが玉砕戦のイメージではないでしょうか。


また、一方では、緒戦での電撃的な進攻でみせた超人的な戦いぶり、硫黄島や沖縄で強固に粘り強く戦ったというイメージなども混在しているのかもしれません。
あるいは、「必勝の信念」の強調など、極度に精神主義的で、ファナティックな非合理的組織だという印象も流布しているとも。


この本では、米軍が自軍内部向けに戦訓を周知するために発行していた広報誌において「敵」である日本軍をどのように観察し、評価していたかを手掛かりに、そのような通念としての日本軍の印象ではなく、実際はどのような軍隊であったのかを明らかにしております。


本書によりますと、バンザイ突撃は孤立した島嶼部において他に策が無かったために最後の自暴自棄として行われたものであり、フィリピンや沖縄などの比較的大きな島ではほとんど行われていないこと。

なお、バンザイ突撃のイメージはこちらから得ていました。

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

まさに孤立した小島での小部隊の玉砕戦の様子を知ることができます。

米軍戦車に対する自殺的な肉弾攻撃など、今日の視点からすれば人命軽視の非合理的な戦法も、有効な対戦車兵器が無い中で、「合理的に検討された」結果であるとも。


そして、日本軍も(緒戦で)勝っているときは恐るべき勇敢さと強さを見せたが、敗色が濃くなれば弱気になり、将校が倒されるとたちまち混乱に陥ったなど、ごく「普通の軍隊」であったと評しております。


最後に、沖縄陥落後でも、本土決戦において、南九州だけでも米軍に勝つ、という勝利を追求する軍隊としての最後の「合理性」を発揮しようとするわけです。


日本軍を今日の社会の価値観で「非合理だ」と切り捨てるのはたやすいです。
しかし、今日の社会が戦前・戦中と非連続では無い以上、その行動様式には大いに興味をひかれるわけです。

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