AKBの税務処理に関する考察。(その1)
こんな報道がありましたので、アイドル税務クラスタとしてちょこっと。*1
headlines.yahoo.co.jp
AKBの運営会社AKSは、資本金1,000万円の株式会社のようです。
そして、AKBに所属しているアイドル(の卵)は、AKSと雇用関係を結んでいるわけじゃなく、AKSから仕事として「アイドル業」を請け負う個人事業主になっているみたいですね。
最初はAKS所属なのですが、人気が出てきたメンバーなどは他の芸能事務所に移籍し、AKSからその事務所へ「外注費」として報酬を支払う形態とも。*2
AKSからアイドルへ支払われる報酬はもちろん、経費になります。
アイドル側では、雇用契約じゃないので、事業所得になりますね。
さて、報道ではアイドルが住んでいたマンションの家賃負担が問題になったようです。
AKBでは地方出身者も多いですから、AKS側でマンションを用意したりしたのでしょう。ここで、AKSがアイドルたちにいくら報酬を払うかは契約自由ですので、家賃を賄えるだけの報酬を支払いしておけば、これはAKSの経費、アイドル側では事業所得として完結です。
税務上も何も問題はありません。
しかし、AKSは最初、経費扱いとはせず、立て替え経理(仮払処理)していたようです。
後から、過去に遡って一度に経費処理し、アイドル側でも収入として税務申告。
まだ売れるかどうかもわからないアイドルの卵に対して、最初から高い報酬を払うことができない現実(業界の実務慣行?)があるのかもしれません。
仮払経理していた家賃を経費に振替し、いわば、報酬の後払いをしたのではないかと。
遅れたとはいえ、報酬後払いなんだから経費でいいんじゃない?
アイドル側でもその分を収入にして税の申告をしているのでは??
などなど、いろいろ疑問があると思われます。
税の申告は、年に1回、その年に発生した収入と経費で正しく計算して納税しなければなりません。
自分の任意の年度に経費を割り当てることが可能だとすると、赤字の年度はどうせ納税額が発生しないので経費を先送りし、売上が大きく伸びた年度に経費をぶつけて利益を減らするなどして、税金の額をコントロールすることが可能になってしまいます。
公平を重視する税法では、これは許されないわけです。
この他、報道では「国税側は、家賃立て替えを寄附金だと指摘」などとも書かれております。そもそも、アイドルが住んでいるマンションの家賃がAKSの経費になるのか?などなど、いろいろ疑問があることと思います。