間違いを指摘する正しい方法についてのお話。
ビジネスの将来を左右するような高度な経営上の判断に、おそらく正解はありません。
トップの経営層は除き、企業で働く多くの人々にとって、通常は、そんな決断をする機会にめぐり合わせることはないでしょう。
ここでは、その下のレベルの話になります。
一定水準の内部統制の仕組みが構築されている企業では、中間管理職以下の人々の日常の仕事の多くは、業界を規制する法律や税法、会計基準、社内規定などできっちり手順が決められていて、それを守っていればまず、間違いは起きないように仕掛けられています。
ところが、時々そのルールを参照せず、間違った独自の方法で仕事を進めようとする方が現れます。
ルールを見ない理由は、「面倒くさいから」「そもそもルールの存在を知らない」など、いろいろあるかと思われます。
まずいのは、自分だけじゃなく、周りのスタッフ職の方々にまでその「俺のやり方」を得々として説明しはじめちゃうことですね。
従前のルールはそれなりに考えられて定められているので、手順を破ると、どこかで不整合が生じたり、対外的に報告・公表される数字がおかしなものになってしまうことに。
そんな時、みんなの目の前でその人に対して「そのやり方はルール違反ですよ、間違ってますよ」ということを指摘したりすると・・
良好な統制環境が支配し、「誤りはまずい「ルール違反は後々組織にダメージを与える」という風土が醸成されていれば、指摘された方は指摘を受け入れてくれるかもしれません。
しかし、そんなことよりも「俺個人のプライド」「管理職としての立場・メンツ」などの感情が重きを置かれている組織では、逆に間違いを指摘するような空気を読めない奴はダメ、あいつは人でなしだと逆恨みされてしまうことに。
それどころか、周りのスタッフ職の方々も、逆恨みに同調し、正しいことを言ううるさい人よりも、俺の独自ルールをやる方のほうが人間らしいとかということも。
思うに、おそらくは前者のような教科書どおりの良好な統制環境などというものはめったに存在せず、後者のような得体の知れない感情が渦巻いている組織が多いのではないかと。
たかが事務的な間違い・ミスで済んでいるうちはまだマシで、そのうちルール違反は顧客や社員の人命や財産に損害を与えてしまうことに。
人間は合理的な存在ではなく、感情で生きています。
そのことを前提にすれば、みんなの前で間違いを指摘したりするのは、やはり正しい方法とは言えません。
でも、間違いを見過ごせば悪い結果を招く。
そのためには、その人のプライドやメンツを傷つけないように配慮しつつ、間違いを正し、スタッフには正当な方法を教育していく。
そんな正しい方法があるのでしょうか。
私には、まだ、わかりません。