すらすら日記。

すらすら☆

「承認」とその先には。

誰しも一人では生きていけないので、他者からの「承認」を求めています。


学生時代は、「勉強ができる」ということで先生からは褒められ、同級生や後輩からは尊敬されてて「自分はできる子」としてちょっとした全能感に浸っていた方が、さらに上の学校に行ったら周りがさらに「できる子」ばかりでちょっとした挫折感を味わう。


地方の進学校で優等生としてちやほやされ、大学でも学部時代は優秀であったのに院進してみたら周りは別世界の生物か、という衝撃。
研究も進まないしダメ出しばかり食らっているとなると、学業とは関係ないアルバイト先での「小さな承認」に縋りたくなる気持ちはわかならいわけではありません。


そして、それが安価な時給で若者の「人格」を買う「やりがい搾取」(君は優秀だ、後輩アルバイトの指導を任せるよなどというささやき)と結びついているのを見るに。


人間の弱さと、それにつけ込む実社会の「悪意」にそら恐ろしさを覚える。*1
連休の雨の降る朝に、そんなことを感じておりました。


こちらの言葉をお送りします。

*1:やりがい搾取の意図があるかはわかりませんが、そのような雰囲気を感じます。

単純な憎しみを煽っても問題は解決しません。

本日のお題はこちら。

銀行は裸の王様である

銀行は裸の王様である


金融の専門家ではない一般向けに、銀行界の言い分に騙されず、規制強化のための議論に参加することを呼びかけるために書かれた本です。
著者らの主張を一言で言うと、現在のような自己資本に対し8倍~12倍以上のリスクアセットを保有することを認めるのではなく、銀行に20%以上の自己資本を持つことを規制する、つまり総資産は5倍程度に納めるべきだ、ということです。


著者らはバーゼルⅢ規制自体もまやかしと考えており、提案される新しい規制は国債をリスクウエイトゼロにすることも認めず、総資産(リスクアセットではなく)の保有自体を規制しようと主張しております。


本書は、主に短期金融市場でレポなどで資金調達し、それを長期の証券化商品やデリバティブで運用していた米国の投資銀行への批判を向けておりますが、安定した預金による負債をそのような短期調達となんら区別せず「借金である」とくくっており、日本の銀行のような調達構造についてはあまり触れておりません。
訳者あとがきでも、本邦メガバンクが「自己資本比率」(財務会計上の自己資本÷総資産)が低いとして批判されており、なんだかなあ、と。*1


また、デリバティブ資産負債のネット表示を認める米国会計基準も批判おりますが、これはバーゼル規制ではグロスでリスクアセットに計上されているはずです。


本書には、このような事実の単純化や決めつけが多く、一般向け書籍とはいえ、受け入れることができない水準であると感じます。


金融危機を招いた原因は単純なものではありません。
複雑な事態を単純化して憎しみを煽っても、問題は解決しないのではないでしょうか。

*1:バーゼルⅡベースの自己資本比率も併記されてはいます。

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