すらすら日記。

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「僕と交換してよ!」

こんな記事を見かけたので、少々解説いたしましょう。
中小企業への金融支援容易に=震災・円高対策に力−金融庁(時事通信)

これは、金融庁が「金融検査マニュアル」を改定し、デット・デット・スワップ(借入金と借入金の交換、DDS)の利用を促進しようという政策をたてたことを受けての報道ですね。

元ネタはこちら。
「資本性借入金」の積極的活用について 金融庁HP

ん?「借入金と借入金を交換」しても、債務残高が減る訳じゃないし、どうしてそれが金融支援に?と疑問があるかもしれません。
でも、DDSで新しく交換される借入金は、劣後特約付借入金であり、返済順位が一般債権の後、いちばん最後になります。
また、約条返済も緩和されることが多いので、当面の利払い・元金返済が楽になります。
今般の金融検査マニュアルの改定で、「期間が5年超」「利率は(銀行の事務経費を賄える)最低限でOK」「担保の解除は必ずしも必要ない」など、使い勝手を向上させるよう明確化されました。
これを満たすと、銀行の資産査定上、借入金(負債)ではなく、資本であるとみなされるようになり、債務者区分の上方への遷移も期待できるなど、債務者・銀行両者にとってメリットが見込まれます。

これはいい話ではないでしょうか。

先程の金融庁HPではこんなことが書かれています。
「民間の様々な主体においても、本スキーム(DDS)を積極的に活用することが期待される。」

「期待される。」

「期待される。」


・・・

有難いご指導 キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!

銀行はお上には絶対に逆らえません。
さっそくホイホイ プレスリリースが出ております。

「十分な資本的性質が認められる借入金」の活用に関する取りまとめについて(全国地方銀行協会)

また、公認会計士協会からもDDS活用へ向け、こんなのも。
「業種別委員会報告第32号『銀行等金融機関の保有する貸出債権が資本的劣後ローンに転換された場合の会計処理に関する監査上の取扱い』の改正について」(公開草案)の公表について

このスピード、事前にジャパニーズ根回しが完璧に行われていると思われます。。
と言うわけで・・

「僕と交換してよ!」*1

よかったのかい、ホイホイ交換してしまって・・w

いちおう建前は「東日本大震災で困っている債務者を助けるため」という名目ですがDDSは被災地に限定されませんので、これは金融円滑化法の出口戦略の一つなのかなあとも推測しております。

DDSについてはまとめられているのはこちらでしょうか。改訂版が望まれます。

DES・DDSの実務

DES・DDSの実務

*1:画像を貼りたかっただけですw

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