すらすら日記。

すらすら☆

ニワトリと卵の話。

オリンパス社第三者委員会報告書を読み込みました。
内容についての解説はあちこちでておりますが、財務報告の視点より少々。

オリンパスが損失隠しを始めたのはバブル期の財テクに失敗して・・となっておりますね。
その昔、企業の財務諸表は商法に定める取得原価主義で、市場で売買されている有価証券、つまり時価のある有価証券でも、最初に買った値段でBSに計上されておりました。*1
これが、平成12年度から「金融商品会計基準」が適用になり、時価評価されることになりました。時価評価と言いましても、いきなりPLに評価損益が跳ねるのでは無く、評価差額は資本直入というPLを通さないでBS上の資本の部へ直接計上する方法であります。*2
さらに、時価が50%以上下落していたりすると、減損処理と言いましてPLにも損失が計上されることになります。

この金融商品の時価会計の適用によって、隠されていたものが外部の目にも明らかになる訳です。
これわやばい!ということで「飛ばし」スキームを考えたと。

時価会計導入が損失先送り、粉飾決算の動機であります。
先に損失の発生という事実があって、それを外部の利害関係者へ表わすために金融商品時価開示があったのです。

昨今、時価会計がリーマンショックから始まりソブリン危機へ至る金融危機の原因だ!などという暴論も聞かれます。
そして、時価会計を一時的に停止して市場の混乱を押さえろ!とも。
こういうのは政治サイドのみならず、企業側でもおじいちゃんたちが言いだすものですから、実に困ったものです。

原因と結果を混同してはいけません。
会計は道具に過ぎないのですからね。

*1:旧商法でも強制評価減の規定はありましたが、やっていなかったものと思われます。

*2:現在は、それぞれ純資産直入法、純資産の部と称されます。なお、税効果会計の適用が必要ですが、これはちょっと難しいので省略w

すらすら日記。は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。