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ゼミナール現代会計入門・演習課題(その2)

続きです。

ゼミナール現代会計入門 〈第9版〉

ゼミナール現代会計入門 〈第9版〉


本日は第3章の演習課題と解答です。



問題①
会計制度の存在理由について論じなさい。



 会計制度は、一定のルールに基づいて財務報告を作成し、資本(資金)の出し手である家計と、資金を調達して生産活動を行う企業を繋ぐ役割を果たしている。会計制度により、家計は資金を出すべきか、株式を保有し続けるべきか売却するべきかの情報を得ることができる。会計制度がなければ、資金需要者である企業は独自のルールを定めて財務報告を行うが、家計は他の企業と比較することが困難となってしまう。



問題②
会計基準を設定する際に中立性と経済的影響のどちらにウェートをおくべきか。またその論拠は何かを論じなさい。



 会計制度が資金の出し手へ「正しい情報」を報告し、その投資意思決定へ有用な情報を伝えることを目的する以上、中立性にウェートをおくべきであると考える。
会計制度改正に当たり、企業行動へ与える影響を考慮して基準を歪めたり、開示を緩和したりすると、結局、資金の出し手は企業の実態を把握できなくなり、資金の供給が円滑に機能しなくなる恐れもある。
 最近の会計基準の設定に当たり、中立性が重視されたものとして「リース会計基準」、経済的影響が重視されたものとして「退職給付会計基準」がある。リース会計基準はリース取引の減少を恐れるリース業界や産業界の反対にもかかわらず、オンバランス売買処理を義務付けたが、退職給付会計基準は単体財務諸表について未認識差異の即時認識が見送られるなど産業界の反対に一定程度配慮する結果となっている。



問題③
会計監査の機能について説明しなさい。また、日本では会計監査はそうした機能を果たせているか検討しなさい。 



 会計制度は財務報告が適正に作成されていることを前提とするが、「自己証明は証明にあらず」と言われるように、財務報告作成者が自ら財務報告の適正性を主張してもそれをそのまま信じるわけにはいかない。そこで、独立した職業専門家(公認会計士)による会計監査が必要となる。
 オリンパス事件など巨額粉飾事件を受けて会計監査は機能を果たしていないと論じられることも多い。しかし、経営者が意図的に財務報告を粉飾した場合、警察・検察のような強制捜査権を持たない会計監査人がその粉飾を見破るのは困難である場合も多い(会計監査制度そのものの限界。期待ギャップ)。一方、監査制度に定められた手順を無視したり、あるいは意図的に経営者の粉飾に加担するなど個別の会計監査人の問題である場合もある。
 会計監査の機能が果たされているかを論じる場合は、これら会計監査そのものの限界であるか・個別の会計監査人の問題であるかの区別を冷静に見極めることが必要であると考えられる。



問題④
概念フレームワークの意義を述べよ。またIASBとFASBの共同プロジェクトで提示された公開草案と日本の概念フレームワークの相違について論じなさい。



 概念フレームワークとは、企業会計の基礎に当たる前提や概念を体系化したもので、会計基準や会計処理を理解するうえでの概念的な基礎であり将来の基準開発に指針を与えるものである。
 日本の概念フレームワーク当期純利益を重視する収益費用アプローチ、また財務報告の主体を資本主理論であると考えるのに対し、IASB/FASBの概念フレームワークは資産負債アプローチで企業主体論であることが大きな相違点である。



続きます。

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