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「こうあるべきだ」はそれぞれ異なります。

本日のお題はこちら。

増税時代: われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書)

増税時代: われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書)

2012年秋頃、自民党政権への復帰や消費税率の引き上げ決定(景気弾力状況の不適用)などの前に書き終えられておりますので、情報が少々古くなっております。
著者は、政府税制調査会会長なども歴任した財政学者です。
民主党は税制全体の理念が無い・公明党地域振興券は天下の愚策と口を極めて罵っていたり、米国のティーパーティー運動を受益と負担を明確に自覚していると称賛したり。
はたまた「子供は親が育てるべき」と主張し、子ども手当*1も、消費税増税に伴う「簡素な給付措置」もすべて「バラマキ」と切り捨て、地方消費税も自ら徴収していないからダメ、と。

現状の税制改革がポピュリズムに陥っているのはその通りなのでしょうが、非常に著者個人の「規範的主張」(こうあるべきだ)というのが多く、私には賛成できない点もいろいろあるので共感を得られませんでした。

空洞化している所得税の再生・金融所得課税の一体化など、賛成できるポイントも有りますし、戦後の高度成長期における「財政的配当」(高成長による自然増収分の減税)、日本の低い租税負担率の歴史的要因など、興味深く読める点も。

現代税制改革史―終戦からバブル崩壊まで

現代税制改革史―終戦からバブル崩壊まで

同じ著者のこちらと重なる記述も多いので、より詳しく学びたい方はこちらの「現代税制改革史」をお勧めしたいと思います。

*1:所得控除よりも現金給付の方が中低所得者に有利なので、私としては規範的には好ましいと考えられますが、現実の子ども手当は「票を買収するためのバラマキとなり、所得税制を混乱させたという点で悪名を残したと考えます。

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