真実は案外、真ん中辺りにあるのかも。
本日のお題はこちら。
- 作者: 大山典宏
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/11/16
- メディア: 新書
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著者は埼玉県の公務員として生活保護行政に関わっているいわば「プロ」ですが、「当事者の立場」で一方的な正義を主張しているのではなく、生活保護をめぐる2つの相対する立場(適正化モデルと人権モデル)を歴史的経緯に沿って公平に紹介しつつ、その2つの間を取る統合モデルを提案しております。
適正化モデルとは、「真に必要な者だけに生活保護を利用してもらい自立を促進する」という主張であり、現行の生活保護行政に近いものです。
人権モデルとは、「権利なのだから生活保護を利用して当然、日本は保護利用が少な過ぎる」とする人権派弁護士や一部の過激なNPO法人「プロ」活動家などが主張する立場です。
著者の主張する「統合モデル」とはよく言えば真ん中あたりを目指すもの、あるいはいいとこどりをしようとするものです(主題ではありませんのでそれほど具体的主張はありません)。
適正化モデルや人権モデルでもそれぞれ一部の過激派(前者では一部のバッシングを行う国会議員、後者では過激なプロ活動家)ばかりが目立ってしまい、それぞれ対立するばかりでは不毛なことになっております。
民主主義政治が妥協と落とし所探しの連続だとすれば、真実は案外、真ん中あたりにあるのかもしれません。
なお、本書のタイトルになっている「子どもの貧困」の問題については、後半でさらりと触れられていますが、そんなに詳細では無いので、別の専門書へ進みたいと思います。