企業の現場からいつまでも引退できないおじいちゃんの地獄絵図のお話。
本日のお題はこちら。
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/03/03
- メディア: Kindle版
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シャープの経営危機の経緯に関しましては、広く報道されて周知のことでしょうから、ここでは内容の紹介ではなく、本書を読んで私が感じたことをつらつらと。
ある会社で出世して、社長になった方は、社長職を辞した後も、会長になったり顧問や相談役などの肩書きで社内に個室や秘書、専用の黒塗り高級車を与えられ、権力を振るうことが多いようです。
取締役会長ならまだしも、取締役ではない、顧問や相談役などの肩書きのおじいちゃんについてです。
定款に「若干名の顧問・相談役を置く」となっているケースもあるようですが・・
顧問・相談役は会社法上の機関でもないですし、
社内規程でも決裁権限や業務分掌があるわけでもない。
彼らが役職を辞した後に入ってきた若い社員なら、顔も知らないかもしれません。
しかし、その顧問・相談役は明文化されていない、よくわからない「権力」を持ち、会社の経営方針に口出しし、人事異動に介入してきます。
そうなると、本来の代表者である社長の方針と合わなくなり、経営が混乱に陥ることになる。
シャープは、この不毛な状態に陥っていたようです。
なぜ、権力者は引退できないのでしょう。
いえ、権力者だけではありません。
偉くなれなかったOBは、今度は株主として株主総会に現れ、人事で冷遇された私怨をぶつけ、後輩である現経営陣を「指導」しようとしたりします。
この地獄絵図は、我が国の企業社会で広く観察されるようです。
その応対に疲弊するのは、またしても現場の若手中堅どころです。
シャープの混乱と経営危機は、他人事ではないように思われました。