権力の源泉としての秘密による支配の持続可能性ついて。
人の知らない秘密を自分だけが知っている。
そのことは権力の源泉となります。
新しい仕事に取り組む時、全体像を知っているのはいちばん上の上司だけで、スタッフには情報を小出しにして決して全体を見せない。
意図して、こういう方法を採る管理職が散見されます。
こうなると、スタッフは全体が見えませんから、進捗のどの部分をやっているのかわからず、ただ上司に言われたことだけをこなすだけになります。
いわば、秘密の情報により、部下をコントロール(支配)しているという状態になるわけです。
もちろん、秘密保持が重要な性質の仕事もありますから、これもマネジメントの一つの方法であり、全面的に否定されるものではありません。
しかし、日常の仕事でも、年次単位で繰り返される仕事でも、秘密保持義務が解除された後でも、この方法を採る管理者が散見されます。
上司が、スタッフの仕事の細部まで精通しており、仕事の全体像を見せないことによる影響を勘案してうえで、矛盾や漏れのない完璧な指示を下せるというのなら、この方法も維持できるでしょう。
しかし、これだけ分業化・専門化が進んでいる今日の企業組織において、そんなことは不可能です。
さらには、上司の言うがままに、いったいどの部分をやっているか理解できずに仕事をさせられていたら、スタッフはただの作業員と化し改善や効率化のモチベーションなど起きるはずもなく。
ただ一人の全能の上司がすべての情報を握り、計画経済のように指令を下す。
それよりも、秘密保持の部分は残しつつ、全体をスタッフに開示して、みんなのアイデアを取り入れる。
持続可能性が疑わしい、権力の源泉としての秘密を利用するより、衆知を集めた方がみんなが生き延びられるのではないか。
そんなことを感じております。